誰のせいだ

Bad end
ヤンデレ


部屋に入れば中に充満する情事独特の匂い。その匂いに顔をしかめるも必死にベッドまでたどりつく。

あぁ、また間に合わなかった。


「朔夜、大丈夫か、朔夜!」


体全体に散らばる赤い痕、下半身は白濁の液でグショグショになっている。

また間に合わなかった。

後悔の念が頭の中を侵食していく。朔夜がこうして無惨に犯され始めたのはいつからだろうか。俺が仕事から帰ってくると、朔夜はこうしてナニモノカに犯される。いつも朔夜は気絶していて、それは情事の激しさを物語っていた。


「に、さ…ん……?」
「朔夜…?大丈夫か?」
「にいさ、…にいさんっ…!」


泣きながら必死に腕を伸ばして俺に抱き着いてくる朔夜。声をあげてなく弟をギュッと抱き締めて何度も謝る。

また間に合わなかった、助けてあげられなかったと。

犯人を捕まえるために以前朔夜にどんな感じのやつかと問いただしたが、目隠しされて分からないの一点張りだった。警察に連絡しようにも弟が拒む。なんでかと聞けば

「男に犯されたなんて知られたくない…」

確かに精神的にもやられている弟に追い討ちを与えるような事はマズイと考えて警察には連絡していない。だがこのままにしておけないと策を練った。

弟には言っていないが今日仕事に行く前、カメラを部屋に取り付けておいた。


少しでも犯人の情報を得るために早く確認したい。泣いている弟を落ち着かせ、タオルをとってくるとその場を離れる。入り口の本棚の真ん中に置いてあるくまのぬいぐるみを取って部屋から出た。


早く早く。
くまのファスナーをあけて中からカメラを取り出してテレビに繋げる。


テレビに映る弟の部屋。

玄関から近い弟の部屋では微かに俺の声と弟の声。行ってらっしゃいと弟が言って玄関のドアは閉じる音。

そこから物音はしなくなった。
弟の部屋は無人で時間だけが過ぎていく。

するといきなり ガタリ、 と音がして部屋のドアが開かれた。

相当乱暴に開けたからかカメラは少しぶれる。


『ゃ、やっ…やめて!』


黒の服の男に腕を掴まれて弟は悲鳴をあげる。
弟が男に抵抗しているのが見えるが肝心の犯人が見えない。

もどかしさにイライラする。

男が弟の頬を殴る。
弟は本棚にぶつかりカメラは横に倒れた。
それにより見える犯人の顔。


『やだっ…も、ゆるして…っ

にいさん……!』


違う

あ れ は 俺 だ


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

手に残る痺れ。
頭に浮かぶ弟の泣き顔。
殴った時の感触。
やめて と抵抗する声。

俺は、やってない、のに。

仕事にも行った。
今日は早く帰るために書類を家に持って帰ったんだ。
そうだ、鞄を見れば。


現実から逃げるように仕事の鞄を見に行く。

何も入っていない、空想の鞄を。




弟(朔夜)
家から出してもらえない
実は兄さんが好き
だから警察は勘弁


ヤンデレ
会社は一年前に止めました
仕事に行って、家から出たが弟が逃げるんじゃないかと不安になって家に帰る
犯す



2011/03/04 01:25
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