いっそのこと切ってくれ
なんか可哀想あぁ、くそっ…!
ポロポロポロポロうっとうしい。
誰かこの涙腺を切ってくれ。
きりきりと喉の奥が痛い。
きゅっ、てなったりして息苦しい。
「ふ、く…ぅ」
逃げてきた場所は青々と広がる空が見える屋上。必死にアイツが入れないように鍵をしめその場でへたり込む。膝に顔を埋めて声を押し殺すも漏れだす情けない声。
一体俺が何をしたというのだろうか。いやそもそも可愛げのない俺がアイツに告白をした時点で間違っていたんだ。
けどアイツは嬉しそうに笑ってくれたじゃないか。いいよって、言ってくれたじゃないか。
「あ、うあ、あぁ…!」
アイツの浮気なんて噂でよく耳にする。親友からは止めておけって言われたけど、馬鹿な俺はあり得ない、なんて何も知らず言った。
「だから止めておけって、言っただろ?」
びくっと肩が跳ねる。ジャリ、と少ない砂を踏む音と共に近付く足音。顔はなんだかあげれなくて膝に埋めたままだけど親友がしゃがみこんで、ぎゅって、抱きしめた。
「傷付くお前が見たくないから、そう言ったのに…」
「お前は馬鹿正直にアイツを信じて、好きなんて言うから」
いつも眠そうにダルそうにしている親友の声はハッキリと心に突き刺さる。そっと顔をあげたら両手で顔を包み込まれた。
涙で作られた膜の奥に見える親友の表情は俺以上につらそうな、泣きそうな顔で、なんだかまた涙が溢れてくる。
「泣くな、大丈夫だ」
「俺が愛してやるから」
「だからアイツの事で泣くな」
そう必死に言ってくる親友の言葉にじんわりと心に暖かみを感じた。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
アイツ(彼氏)
浮気性
だけど実は浮気じゃない
「俺」に嫉妬してほしい
俺
純粋でひた向きに愛する
アイツが好き
親友
「俺」が好き
アイツは大嫌い
「俺」とは同じバスケ部
2011/03/01 02:38
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