コンプレックス!! 2

「ただいま」
「陸雄おかえり。伊織君が部屋で待ってるわよ」
「え?伊織が?」
「そうそう、お母さん今からお父さんと食事して明日くらいに帰ってくるからよろしくね」
「ちょっ、何この急展開!?」
「行ってきまーす」

スキップしそうな勢いで母さんは今俺が入ってきた玄関をくぐった。俺はポカーンと目を丸くしながら玄関のドアが閉まるのを確認する。
つかなんで、

「お前がいるんだよ」
「久しぶり陸雄」
「久しぶりって昨日学校で会っただろうが。そして今日は毎週ある休みのうちの土曜だ。最後に鞄に入れた俺の下着を返せ」

自分の部屋に入ってみれば案の定、伊織は俺のベッドに寝転んで枕に顔を埋めている。俺の姿を見た伊織はにっこりとイケメンスマイルを向けたまま足をパタパタさせた。いや可愛くないから。

「だって陸雄、珍しく俺のお誘い断ったでしょ?すごい気になって昨日寝れなかったんだよ?」
「たまにはいいだろ。つかパンツ返せ」
「今日遊んた男の子、誰?」
「友達だよ、友達」

出た、伊織のワガママ。
どうせ伊織には友達がもっといるだろうが。こんな目付きの悪い俺に近付かない女の子とか。

「友達は手なんか握らないよね」
「は!?なんで知って…」
「そんな事より誰、あいつ」
「中学時代の友達だよ」
「なんで手を握ってたの?」
「なんか知らねーけど繋ぎたいって言ってたから。つか別に伊織には女の子とかいっぱいいるだろ?俺なんかと遊ばなくてもいいじゃねぇか」
「…………少し、甘かったか」
「伊織?」

何か呟いたようだが聞き取れず聞き直せばにっこりと笑う伊織。その笑顔が怖いんですが。

「ねぇ陸雄」
「な、なんだよ」
「俺より先になんで手なんか繋いでデートなんかしたの?」
「デートじゃねぇよ…っ。ただ遊んだだけだ…」

ベッドから下りて一歩一歩歩いてくる伊織に少しビクつきながらも出来るだけ強い声音で返す。

「じゃあ僕と今度遊ぶ時手を繋ごうか」
「嫌だ!」
「………………」

笑顔で固まってますよ、伊織さん。

「なんで?」
「だって…」
「だって?」

催促するように頬を撫でられておそるおそる見上げて口を開く。

「今さら…恥ずかしい、だろ…っ!手を繋ぐとか、意識して…」
「…………」
「だから伊織とは手を繋げない!」

ぷい と顔を背ければポカーンとした伊織が視界のはしに映る。

「え、それって僕とだと意識しちゃうって事?」
「ま、まぁ…」

言った途端おもっきり抱きしめられて伊織の機嫌がなおったと知る。よかった安心している間

「ほんと、無防備すぎ…」

と呟いて中学の友人と俺をどう引き離すか考えてるとは知らなかった。



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目付き悪いやつが頑張って人と話せるようにする姿見てると写真とりたくなる(^ω^)



2011/08/15 22:35
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