出会い電車 3

帰り道で友人と合流して電車に乗り自宅へと帰った。途中で友人と別れてマンションの階段を上がる。携帯を弄りながら階段を上っていれば俺の部屋の隣人とすれ違った。

「あ、伊月さんこんばんは」
「おかえり梓君。大学終わったのかい?」
「はい。伊月さんどこか行くんですか?」
「ちょっと仕事でね。あ、そうだ。梓君の友達が部屋の前で待ってるよ?」
「友達?」
「茶色の髪の毛でモテそうな顔つきだったね」
「…………」

嫌な予感しかしねぇよ。
色々おかしい。あいつおかしい。

「あ…はは、はぁ」
「知り合い?」
「や、まぁ知り合いって言ったら知り合いですけど」

痴漢野郎です。
伊月さんは心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。伊月さんも痴漢野郎に負けないくらいにイケメンさんなのだ。つか俺の周りにはイケメンしかいないのかよ。

「あ、大丈夫です!そういや伊月さん仕事ですよね。なんかごめんなさい。お仕事頑張ってくださいね」

笑って言えば困ったように笑う伊月さん。携帯で時間を確認してため息をはいた伊月さんは俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。

「すまないね。何かあったら僕も頼ってよ」
「は…はいっ」

じゃあね と言う伊月さんはやはりイケメンだ。いいイケメンだ。ちくしょうカッケェ。
つかそんなことより。

「あ、梓お帰り」
「なんでお前いるんだよ!」

やっぱこいつか。痴漢野郎にストーカーとという称号も加えておこう。





―――――――――

隣人 実は…
 伊月直人/いつき なおと



2011/07/15 23:55
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