笑えない冗談です
(不良×平凡)
風のイタズラとはよく言ったものだ。こんなもんイタズラと言えるか。天罰だ。
「ま、まぁ…お前がそんなにってんなら付き合ってやる…」
勘弁してください なんて言えない。周りの不良達は空気をさらに盛り上げるから後戻り出来ない。
「ヨロシクオネガイシマス」
俺は学校一評判が悪い不良の恋人になりました。
どうしてこんなことになったかというと簡単だ。
俺が本命にあげるはずのラブレターが風に舞って丁度近くにいた不良さんの手元に行った挙句、不良さんは高1から俺の事が好きだと衝撃発言をして「このラブレターも俺宛だろ?」なんて自意識過剰な発言をして、冒頭に至る。
んなベタな。
「よ、よぉ」
「は、はぁ…。おはようございます」
「よし、い、行くか」
とりあえずなんで俺の家を知ってるんだ。なんで一緒に登校みたいになってるんだ。まるで恋人みたいじゃ――。
「どうした?」
「や、何もないです」
俺 た ち 恋 人 だ っ た 。
すっかり忘れてた。いやもう抹消したかったから忘れてた。
「つ、つーか、敬語やめろ…。俺ら同い年だろうが」
えぇ―… とは言わなかった。けどあなた様は学校一の不良ですよね。俺みたいな平凡があなた様にタメ口きいたらニュースになる。学校新聞に乗る。
「あ、ほんまや。蓮が可愛い子ちゃん連れてる」
「ちょっ、緑間さんヤバいですって…っ」
しかもあの人らって。
「なっ、に逃げようとしてんだ」
「ちょっ、ホント勘弁してください!あの人緑間先輩じゃないですか!」
「あ〜俺の事知ってんの?光栄やわ〜。よろしくなぁ」
ニコニコと笑いながら手を差し出す緑間先輩。怖くて、手なんて握れるわけ、ない。
「亮触るな」
「んん〜?独占欲が強いやつは嫌われるで?」
「黙れ!」
「ほらほら怖がってるやん」
緑間先輩と俺との間に立ちふさがる八嶋さん。一応同い年な八嶋蓮さんは睨み付けるが軽くあしらう緑間先輩。
「や、八嶋さん…」
「八嶋さんやて〜。蓮呼ばれてるで?」
「…………」
「は、早く学校行きましょう…?」
そう勇気を振り絞って言えばさらに目付きは鋭くなった。何故だ。
「…て、…だら」
「え?」
「俺の事蓮って呼べ。あと敬語使うな」
「でも…」
「いいな?」
「は、はい…あっ、うん」
じゃあ行く と手を握ってきてそのまま学校の方角へ歩く。八嶋さん…、蓮…さんの顔を伺えば少し赤い気がする。
不覚にも、可愛いとか…思ってしまった。
(お、おい…あれ!)
(八嶋さんと誰だよアイツ?)
(やし…蓮さん、なんか注目浴びてま…るんだけど)
(気にすんな)
2011/06/24 20:59
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