出会い電車2
「あ、やべ、レポート出してこないと。悪いけど俺先行くわ」
「んー、了解」
じゃあな梓、とおぼんを手に席を立った友人は人混みの中へ消えていった。今の時間帯がお昼頃なのかここ、食堂は人で溢れている。
友人がいなくなり、話す相手もいないので仕方なく携帯を弄るためジーンズのポケットから携帯を取り出せば目の前に唐揚げ定食。
「オムライスだなんて可愛いものを食べるんだ」
俺に話しかけたであろう言葉だけど顔はあげちゃいかん気がする。
「ふふ、可愛いね」
「黙れ痴漢野郎」
あ、今イラッとして思わず目を合わせてしまった。最悪だ、二度と会いたくない顔なのに。
「痴漢野郎だなんて。僕にはれっきとした廣野陸って名前があるのに」
「お前なんて痴漢野郎でいいんだよ。第一絶対に名前なんて呼ぶ日はない」
「うん、ヒロって呼んで」
「人の話を聞こうか」
「梓は可愛いね」
だれか助けて。コイツ宇宙人だ。
なんだって日本語が通じない。イケメンは日本語が通じないのか?つかなんで俺の名前を知ってんだよ。こえーよ。
「ん、梓もう行くの?」
「うるせ、別に関係ねぇだろ」
「……」
空になった皿を手に席を立って一安心、……。
「なんでついて来るんだよ!!!!」
「いやだって梓がいないならここにいる意味ないし、ね」
「唐揚げ定食食っていけよ!!!」
「いらない」
捨てる なんて言いながら残飯処理に綺麗な唐揚げ定食を捨てようとする痴漢野郎を必死で止める。
「何やってんだ馬鹿!!」
「だって梓がいないなら食堂にいても五月蝿いだけだし」
あーはいはい、さっきからキャーキャー言われてる女の子の声ですか。モテモテ王子は羨ましいですよ。
「いいから捨てるな。食え」
「だって梓行くんでしょ?」
「は?」
「梓が行かないのなら食べる」
調子にのんなボケ。
そう言ってやりたいが、唐揚げがかわいそうだ。鶏がかわいそうだ。
「……………………早く食え」
「梓、あーんしてほし「 早 く 食 え 」チッ」
おいこいつ王子なくせに舌打ちしやがった。なのに周りの女のコ達は目をハートにして痴漢野郎を見ている。世の中不公平だ。
「梓、今日暇?」
「暇じゃないすごい忙しい」
「本当?」
「ほんとほんと」
「なら我慢する」
何を我慢するんだ。こいつほんとに気持ち悪い。早く帰りたい。帰って昨日録画したドラマ見たい。この後用事もないし速攻帰ろう。
「ごちそうさまでした」
「よしじゃあな」
「え、あっちょっと」
空になった皿を確認して鞄をひっつかみ食堂から走って逃げる。後ろで呼び止める痴漢の声は無視させてもらう。
「……ふーん」
俺が出た食堂の中では痴漢野郎が嬉しそうに笑っていた事なんて俺は知らない。
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受け 大学生
米倉 梓/よねくら あずさ
攻め 痴漢野郎(大学生)
廣野 陸/ひろの りく
友人 大学生
名前がありません!!
2011/07/02 17:31
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