コンプレックス!!

――俺はよく、目付きが悪いと言われる。





「陸雄ー、目ぇ目ぇ」

ぐりぐりと眉間を押されてムッとなる。

「無意識なんだよ」
「ふぅむ。梶田君は無意識に眉間に皺を寄らせてしまうと?」
「無意識なんだよ…」

分かってる、分かってんだけど目付きが悪いのは生まれつきだし、目の前の親友が無駄なイケメンというのも生まれつきだ。背は一般的には平均だが周りのやつらが高いせいか、なぜか低い部類にいれられる。
世の中不公平だ。

「まぁりっちゃんはそのまんまが一番可愛い!」
「りっちゃん言うな」
「おーまた梶田と日向がイチャついてるぞ」
「あぁ、あのB組名物の」
「はいそこイチャイチャすんな!」
「いや、イチャついてねぇよ」
「りっちゃん照れるなよ」
「だぁああっ、めんどくせぇ!!」

クラスメートも笑いながら俺と伊織を名物カップルと弄るが、俺はノンケだ。親友である日向伊織は確かにイケメンだし俺より背が高い。高等部から入学した俺と初めて友達になってくれたのは伊織で、今じゃクラス全体にも慣れた。
ただ問題が一つ。

「りっちゃんりっちゃん」
「ん?」
「ちゅー」
「……、っわぁああ!」

振り向いた先には伊織のドアップ。あぁ近くで見ても綺麗だなぁ、なんて思ってみるが顎をつかまれて顔を近付けるその行為は。

「やめ、ちょっ、誰か助けろ!」
「りっちゃん可愛い…」
「梶田ふぁいと」
「梶田もそろそろ日向の求愛を受け入れたらいいのによ」
「梶田が拒む度に日向の熱が上がってるしな」
「この人でなしやろう!!」

男子校であるここは男同士の恋愛は日常であるという事と、親友が俺に対するスキンシップが激しいという事。

「いただきます」
「ゃ、んっ…んんんっ」

目付きが悪いせいか彼女を作った事がない俺は、ファーストキスも含めて親友に渡してしまうのだった。

――そんな俺の日常。





‐‐‐‐‐‐‐‐

梶田陸雄(かじた りくお)
 目付きが悪いのがコンプレックス
 背は平均以上
 彼女いない
 黒髪

日向伊織(ひゅうが いおり)
 二重の爽やかイケメン
 茶髪の無造作ヘア
 陸雄の親友




2011/05/31 01:21
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