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彼女



私がフィンクスと約束していることはいくつか(も?)ある。もちろん普段の同棲生活でのこともあるけれど、彼がそれよりも何回も多く私に言うのは「蜘蛛とは接触しないこと」。蜘蛛は天下の盗賊団、幻影旅団の俗称で、その一員であるフィンクスは私が彼らと接触することを酷く嫌がっている。というかまあ危険な人達なんだろうけど、彼を見てると果してそれもどうなのかと疑ってしまう。


「おいナマエ、ビール飲んだか?1、2本残ってた気がしたんだが」


だってほら、今も冷蔵庫を覗き込みながらあんなこと言ってるし。


「ビールは昨日全部飲んだんでしょ、フィンクスが」

「…そうだったか」


じゃあちょっくら行ってくるわ。とイスに掛けてあったジャージを羽織る。玄関を前に「ちゃんと鍵閉めろよ」と言うが、フィンクスが外から閉めれば何も私が確認する必要は無い。はずなのだが、生憎彼は一度鍵を無くしてからは持ち歩かないようにしているらしい。結局その鍵は彼らのアジトに落ちていたそうだが、万が一仕事先(=犯行現場)に忘れて来でもしたら住居を移る羽目になる。
私を気遣ってくれるのが嬉しいから何も言えないのだけれど。


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