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迷い師走
「フィンクス…寒い長い人が多い」
「あーあー俺が悪かったよだから街中で瞬間移動は止めろ!」
盗賊も買い出しに街中に訪れる師走。その盗賊、フィンクスとナマエは人混みの中横断歩道の信号待ちをしていた。元々短気な所のあるナマエはと言うと、二人して地図が読めず迷いに迷った所為の疲労も有り、ひっそりと眉根に皺を寄せ横断歩道の先まで念能力を持って移動しようとしていた。一方強化系の体力馬鹿であるフィンクスには特にダメージは無いようだ。
「本当に合ってる?」
「おう。…参考までに聞くが、間違ってたらどうする?」
「フィンクス叩いて帰るよ」
「まじかよ、俺は?」
「置いてく」
ひでぇ、とフィンクスが横を振り返った時丁度信号が青に変わり、ナマエはすたすたと先に歩いて行った。人混み嫌いなくせに率先して歩いて行くなんて、相当来てるな。そうフィンクスが溜息をついていると数歩先にいたナマエがいきなり彼を振り返り立ち止まった。
「…道、分かんないんだった」
心無しか顔を赤くしむすっとしながらナマエが伸ばした手は溜息をつきながらもにやりと笑ったフィンクスによって掴まれた。
「何でにやにやしてるの」
「いや別に?」
「馬鹿だなって思ったんでしょ」
「思ってねえって」
「顔が笑ってる」
こんなやりとりをしていた為かこの後二人はまた街中を迷い歩く事になるのだが、この時点ではそれは神のみぞ知ることであった。
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