drrr!! | ナノ

※情事後、注意。





 門田さんは優しい。
 これは、帝人が京平を評する時に必ず使う言葉だ。
 帝人曰く、さりげない優しさだったり何もしない優しさだったり。京平の優しさはまさしく大人のソレで、子供の自分には物足りなかったりこそばゆかったりするのだが、それでもその優しさが嬉しいのだと。
 そんな京平もしかし、ダラーズの顔役をやっていると言われるだけあって(あくまで噂であって決して事実ではないけれど)、普通とは言い難い。他の面子が度を越えているだけで、京平だって決して一般人ではなかった。
 帝人がそれを知ったのは、2人が付き合い始め共有する時間が多くなってからだ。
 しかしそれも、池袋の面々と比べればやはり可愛いものであまり気にしないようにしていた帝人だが。
――これはどうすればいいのかな。
 なんだか無性に、今の状況から目を反らしたくなった。

 お付き合いを始めれば、そういうことを致す間柄になる訳で。情事の後、所謂ヤっちゃった後というのが今現在。熱さと独特の気だるさが手伝って何をするにも億劫だ。
 帝人はぼんやりと天井を見ていた。見ていたというより、視界に入っていただけのことだが。
 このまま寝たい…、でも身体洗わなきゃ。
 熱に浮かされた頭がぐるぐる回転したところでやはり考えはまとまらない。おまけに身体も言うことを聞かず、帝人は息をしているだけだった。
 束の間の余韻を楽しんだ京平は、動けないでいる帝人の頭を撫で後処理を始めた。
 帝人の腹に斑に浮かぶ白濁はティッシュペーパーで拭われ、その後も淡々と後処理が進められる。帝人はその慣れた様子の手付きに目が離せなかった。
「帝人、」
 大方、後処理をし終えた京平が気まずそうに口を開いた。声を出すことも億劫な帝人は、視線だけで先を促す。
「お前、中の処理、自分でできるか?」
「……ぅあ」
 京平に言われ、身体が震えた。
 先程まで京平が入っていた場所から溢れ出そうなそれは、未だに熱を孕んで帝人を苛ませる。無意識のうちに入口を閉めようとしたが、間に合わず溢れ落ちたものが肌を滑った。
 中の処理を自分でというのはつまり、中のものを自力で取り除けということだろうか。でもどうやって? 帝人は弱く首を振った。
 今にも泣きそうなその表情に、理性が焼き切れそうになるのを我慢して、京平は苦笑する。
「そうだよな。こんなこと初めてだし、やれっつっても無理か」
 困ったように呟く京平に帝人は首を傾げた。
 初めて。確かに、中に出されたのは初めてだったかもしれない。帝人は記憶にある京平との情事を思い出す。基本的に彼はゴムを着けるという常識を有していたし、着けない時は最後までしなかった。
 だから帝人は、中の処理をする方法が分からない。
 だったら、今までみたいに門田さんがしてくれればいいのに。
 当初、恥ずかしさから自分で後処理をすると言った帝人に、俺がしたいんだと一蹴したのは間違いなく京平だ。
 恥ずかしくないとは言わないが、それもあれだけ乱れた後では後処理くらいと思ってしまう。
 帝人が不思議がっていることを露とも知らない京平が、帝人の腹へ耳をつけた。帝人と目が合うと、ニヤリと笑う。
「……あの、門田さん?」
「子供はやっぱり女の子がいいな」
「あ、え、…はい?」
 脈絡のない話を始めた京平に、帝人はただただ困惑する。
「目はお前に似て大きいのがいい。二重のぱっちりした、リスみたいな感じでよ。口元は俺だな、少し薄い方が可愛い。…あぁでもお前の子なら、絶対可愛いに決まってんな」
 帝人の腹を撫でながら、嬉しそうに京平は続ける。
「大きくなったらパパと結婚するって言ってくれんだろ? 俺が、ママがいるからなって言ったら拗ねんだよ、頬膨らませて。絶対ぇ嫁にはやらねぇぞ」
「……あはは、その前に僕は子供産めないんですけどね」
 突っ込むことを諦めた帝人は、倦怠感から力なく言葉を返す。
 どうして急に子供の話なんてするんだろう。
 それでもこんな京平が珍しく、話を合わせる。
「…僕は男の子と女の子が1人ずつがいいですね。妹を守る優しくて強い門田さんみたいなお兄ちゃん、いいと思いませんか?」
「俺みたいってのが余計だが、兄貴か。妹を守れるように鍛えねぇとな」
「門田さんはいいお父さんになりそうですよね!」
 擽ったそうに笑った帝人が良いことを思いついたと言わんばかりに声をあげるが、京平は眉を寄せる。
「そうか…? 顔が怖いって泣かれたら、俺は立ち直る自信ねぇぞ」
 その場面を想像したのか、京平の顔は苦々しく歪められていた。すると一転、気を取り直した京平が今度は思わせ振りに微笑む。
「俺よりも、お前はいい母親になるんだろうな。今でもいい嫁だしよ」
「……僕はただの学生ですよ」
 帝人は恥ずかしそうに顔を赤く染め、堪えきれなくなったのか一言呟いた。
 そんな帝人に満足したのか京平が喉で笑う。その震動が帝人へ伝わった。
 帝人は不意に寒さを覚えた。京平と触れ合っている部分だけが熱くて、変な感じがする。
 そういえばお互いに裸のままだった。帝人は途端に恥ずかしくなった。
 居心地の悪さから帝人が身動ぎすると、京平が身体を起こして離れた。
「……ぁ」
「ん? どうした?」
「な、何でも……!」
 必死に首を振る帝人に、京平が変な奴と笑った。
 まさか、名残惜しいだなんて言えるはずもない。
 帝人が起き上がろうと腕で上体を支えると、直ぐ様京平によって再び布団へ押し戻される。
「?」
「2人か、じゃあ頑張らねぇとな」
「何をですか?」
「4人で住むならこの部屋じゃ小せぇから新しいとこ探さないといけねぇだろ」
「いや、あの…」
「そうなると今以上に働かねぇと養っていけねぇか」
「門田さん、その前に…!」
「あぁ、まずは子供か。お前の希望通り2人だな」
 散々帝人の言葉を遮った京平がにやりと口元を歪ませ、帝人の額に口づけた。
「……え?」
 突然のことに帝人は固まる。
「さて頑張るか、帝人」
 ずっと笑ったまま告げた京平に、帝人はその意味を理解し必死に首を振る。
「こ、これ以上は無理です…っ!」
「安心しろ。んな無茶しねぇからよ」
 押し返そうと腕を突っ張るが、帝人の抵抗空しく第2Rへ突入した。



既に、いや全てが無茶です!

(子供も、第2Rも、嫌じゃないのがただ悔しい)


(…パパ、動けません)
(ママは甘えん坊だな)
(誰のせいですかっ!)
(俺だろ? 悪かった)
(……、もういいです)
(一緒に風呂に入るか)
(連れてって下さいよ)
(ママの仰せの通りに)

終われ。



* * * * *
リクエストは「門帝、シチュエーション指定なし」でした。
…たまにはこんな門帝もいいと思ったんだ。京平さんが臨也化(又は新羅化)してるとか、そんなことは知りません←
リクエストありがとうございました!


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