drrr!! | ナノ

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「帝人さん」
「どうしたの静雄君」
 すぐ後ろから声がして、帝人は読んでいた本から目を上げた。声のした方へ首をぐるりと回すが、見えるのは明るい金色だけで彼の目を見ることはできない。
「なんかいい匂いしますね」
「…ふふ、くすぐったいよ」
 静雄が帝人の首筋に鼻を寄せた。微かに触れる毛先がくすぐったい。離れようと身をよじるが、腹に回された2本の腕が帝人の行動を戒め、何の抵抗もできない。その間も静雄は鼻を帝人に擦り付ける。
 帝人は静雄の胡座の上に座り、その腕の中にすっぽりと収まっていた。
 帝人が何か作業をしている時は、決まってこの体勢になる。年下の、青年と少年の間にいるような静雄の腕の中に収まってしまうことが悔しいやら恥ずかしいやらで初めこそ抵抗していた帝人だが、暴れたところでこの小さな拘束を解くことはできないし、なんだかんだ彼の匂いや熱に包まれるのは嫌いではないのだ。そのうち抵抗もしなくなって、今では帝人のポジションになっている。
「そんなに匂うかな?」
 未だに首筋に顔を埋めている静雄に、帝人は腕を寄せクンクンと鼻を動かすが、人間というのは総じて自分の匂いというものには鈍感なものだ。帝人も、特に変わった匂いを感じることもなく首を傾げた。
「ん、なんか甘いっす」
「甘い? 別にお菓子を食べたり、そういう場所にも行ってないはずだけど」
「甘くて、美味そう」
「……え?」
 静雄は、小さく呟いた言葉を聞き返す帝人の首にがぶりと歯を立てた。突然の痛みに帝人は声を漏らし、身体を震わせる。
「っ、静雄君…?」
「すんません。帝人さん、明日休みでしたよね?」
「そ、うだけど」
 静雄が噛んだ跡に丁寧に舌を這わせる。帝人の声が所々跳ねた。
 首から離れた静雄は、今の状況がよく分かっていない帝人の耳元へ唇を寄せ、耳の奥の受容器へと直接声を届けるように囁いた。
「俺、我慢できないかもしれません」
 そう言って帝人を抱きしめる腕に力を入れた。帝人はその意味を理解して顔を赤く染めるが、身体がより密着したことによって自分の臀部に押し付けられる質量に気付き、いよいよ冗談ではないことを理解する。
 それを見計らったように腹に回されていた手が、そういう意志を持って帝人のわき腹を撫で始めた。
「嫌なら止めますけど…」
 言葉と違い、静雄の声はいやに楽しげだ。よくそんなことが言えるもんだ、帝人は緩い刺激に耐えながら思う。そう言うならまずこの手を止めるべきじゃないか。
 自分のそれとは違う節ばった指で、ごつごつした手で作り出される刺激が、確実に自分を追い詰めていくことを理解しているだけに、帝人は素直になれない。唇を噛み締めた。
「何も言わないならいいようにとりますけど。いいんすか」
 止まりませんよ俺。静雄は執拗に確認を繰り返す。
 彼の言う通り、帝人が一言「嫌だ」と言えば静雄は止めてくれるのだろう。静雄は帝人の嫌がることを無理強いしたことがない。彼は自分に甘い。しかしそれは静雄に限った話ではなく、帝人にも当てはまることだ。
 つまり帝人は、ノーとは言わないが素直になることも憚られて何も言えずにいるということで。
 それを分かっているのかいないのか(彼のことだ、沈黙は肯定ととったのだろうが)、静雄は再び首を舐め始めた。
 いつの間にか静雄の手が服の中へと進入している。シャツの裾から腕を入れ、そろそろと皮膚を撫でながら上へ上へと進んでいく。冷たい指先が肌をなぞるだけで帝人の身体はびくびくと跳ねた。そのうち指先が小さな突起を見つけた。
「っひ、ぅ…」
「勃ってますねここ」
 今まで声を出さないようにしていた帝人だが、探り当てられたそこを親指と人差し指で転がすように刺激されると、思わず声をあげてしまう。
 その様子に満足したのか、静雄がくつくつと喉を鳴らす。
「噛まれて感じたんすか? それとも、舐められてっすか?」
「…や、違っ……ぁ、」
「違う? …あぁ、触られて感じたんすね」
「っ…!」
 帝人は顔を真っ赤に染めて、左右に振ることしかできない。しかしいくら帝人が否定しても拒否しても、静雄を止めることはできなかった。
 帝人の身体を支えていた手が下へと伸びていく。首筋に吸い付き自らの印を残しながら、静雄はズボン越しに帝人の自身に触れた。
 既に兆し始めている。その事実に静雄は唇を舐め、布越しにやわやわと揉みしだく。帝人は与えられる刺激を、ただただ受け入れるしかなかった。
「ひゃ…、っあ……」
「ねぇ帝人さん、気持ちいいっすか?」
「…う、ぁ……」
 静雄の問いに答えることのできない帝人。しかし静雄は許さないとばかりに全ての愛撫を止めた。帝人の耳元で低く囁く。
「ちゃんと答えてください。…気持ちいいっすか?」
「……」
「帝人さん」
 静雄の声音は優しい。責めるというよりは促すような響きだ。しかし逆らうことのできない何かがそこにはある。
 帝人はごくりと唾を飲み込んだ。
「……い」
「何すか。聞こえませんよ」
「…気持ち、いい」
 やっとのことで答えた帝人は耳まで真っ赤だ。背後にいる彼は意地悪く笑っているに違いないと思うと、更なる羞恥に襲われる。そのせいで身体が小刻みに震えているのだが、帝人は気付かない。
「……すっげー可愛いっす、帝人さん。ホントに可愛い」
 静雄は熱に浮かされたように、可愛い可愛いと繰り返す。
 恥ずかしさから逃れようと身体をひねるが、静雄の手が再び愛撫を始めたので動けなくなってしまった。
 先程、布越しに触れていた手が器用に帝人のズボンのボタンを外しファスナーを下ろす。ジジジ、という摩擦音がやけに響いた。
 小さな震動すら今の帝人には快感に繋がるようで、ぴくりと身体が震える。
「帝人さん、いい子だから腰浮かせてください」
 帝人は力の入らない足でなんとか腰を浮かせた。そのうちに下着ごとズボンを脱がされる。
 帝人の陽に焼けていない真っ白な下肢が現れた。中心はしっかりと上を向き、快感に震えている。静雄はそれをそっと掴み、ゆるゆると上下に動かした。
「…ぁ、…っ!」
「声、我慢しなくていいっすよ」
 帝人は首を振る。未だに手にしたままの本は、帝人が強く握りしめているせいでぐしゃぐしゃだ。
 それを見た静雄は仕方ないとばかりにため息を吐いた。胸を触っていた手が移動し、帝人の唇を指先でなぞる。
 帝人の口が空気を求めて開いた瞬間、静雄の指が入ってきた。指の腹で舌を撫でられ上顎を刺激される。閉じることのできなくなった口からは、ひっきりなしに帝人の声が漏れ出す。
「…あぅ、っひ……」
「しっかり舐めてください。後で痛いの嫌ですよね」
 飲みきれなかった唾液が口から溢れ顎をつたい始めた頃、漸く長い指が引き抜かれた。
 大きく息をする帝人にお構い無しに静雄は彼の足を、あぐらをかいた自らの膝に引っ掻けるようにして開かせる。帝人は身をよじるが、自身を刺激されたままではろくな抵抗はできなかった。
 静雄は唾液に濡れた指を暴かれた蕾へと伸ばし、解すように入り口を撫でる。
「…なんだ、舐めてもらう必要なかったっすね。帝人さんのでぐちゃぐちゃですよ、ここ」
 帝人の自身から溢れた密が、静雄の手によりぐちゃぐちゃと淫靡な音を立てながら、下へ下へと落ちていく。そのせいで奥に隠された蕾までしとどに濡れていた。
「…や、も……っ」
「もう焦らすなって?」
「ちがっ…!」
「そうっすね、俺も早く帝人さん中に入りたいっす」
 帝人の言葉を良いように解釈した静雄は、つぷりと指を差し入れた。
「…ひゃ」
 滑りを借りて長く骨張った指が1本、ぐにぐにと中へ入る。
 十分に濡れていたせいか痛みは感じないが、何度経験しても慣れぬ異物感に帝人は自然と力んでしまった。
「ぁ、…ぅ…」
「力抜いてください。ほら、前に集中して」
 中に入った指は動かず、自身を扱く手が帝人のいいところを的確に責める。
「あ、あぁ…くっ!」
 帝人は声を抑えることも忘れ、静雄に言われた通り快感だけを追いかける。
 いつの間にか静雄の指は動き始めた。
 中を解すために蠢く指が前立腺を捕えた時、帝人の知らぬ間にその指は3本にまで増えていた。
「ひゃ! …っも、…出ちゃ」
 直接的な快感は、直線的に絶頂へと帝人を導く。前と後ろ、両方を同時に刺激され限界が近いのか、帝人のものがびくびくと震え始めた。
 しかし静雄が根元を掴んで、帝人の射精を阻む。
「…ぁ、何で……」
「1人でイかないでくださいよ」
 いやいやと首を振る帝人に苦笑浮かべながら、静雄は熱っぽく告げる。
 帝人が返事をする前に、静雄は帝人を反転させた。驚いた帝人はばさり、と本を床に落とす。向かい合わせになって、ようやくお互いの顔を見た。
 静雄は帝人の頬に流れる涙を唇で拭いながら、器用にズボンから張りつめた自身を取り出した。細い腰を掴み帝人の身体を少し浮かせて自身を蕾へとあてる。
「静雄君」
 帝人が静雄の肩に手を置く。
「…帝人さん、行きますよ」
 こくんと帝人が頷いたのを確認し、静雄は徐々に中へと押し入れた。
「…あ、ぁ…っ、深……ぃっ」
「っ、キツ…」
 慣らしてあったおかげで痛みはないが、自らの体重により奥深くまでやってくる熱を、帝人は締め付けてしまう。
 その締め付けに静雄は眉を寄せ、痛みに似た快感に耐える。
「ぁ、静雄く…」
「…分かりますか、全部入ってますよ」
 こくこくと頷くことで答えた帝人は、静雄の首へ腕を巻き付け顔を寄せた。
「…ね、キス」
「はい」
 見つめ合ったまま、啄むようなキスを繰り返す。何度も何度も角度を変えて。
 帝人の目が閉じたのと同時に、静雄の舌が歯列を割って入った。それに応えようと帝人もおずおずと舌を差し出すが、静雄のそれに絡めとられ為す術がなくなってしまう。
 息が続かなくなった帝人が、静雄の肩を叩いた。そして唇が離れる。
「…はぁはぁ…っ」
「…そろそろ動きますから」
 静雄は、肩で息をする帝人の唇を名残惜し気に舐め、律動を始めた。
「あっ…ぁ、ふぁっ…!」
 下から突き上げられる快感に帝人が声をあげる。息を吸うと静雄の唇に噛みついた。
 舌を絡め、送り込まれた唾液を飲み込み、犬歯を立てて甘噛みする。
 ぐちゅぐちゅと上下の接合部から卑猥な水音が響いた。
「あ、…っも、出した…っ」
「俺も、そろそろ限界っす」
 キスの合間に溢した言葉は、熱い吐息となって消えていく。
 静雄は帝人の自身を扱きながら、いっそう激しく奥を抉った。
「……っあぁ…!」
「っ…、」
 帝人が一際高く声をあげ、びくびくと震えながら吐精した。ほぼ同時に静雄は中へと吐き出す。服を着たままだったせいでシャツがベタベタだ。
 息を乱した帝人が、静雄へもたれ掛かる。少し体勢を変えただけで、下からぐちゅりと音がして、帝人はぶるりと身体を震わせた。
「…帝人さん」
「…どうしたの静雄君」
 あ、このやり取りさっきもしたなぁ。帝人は、回らない頭の片隅でうっすらそんなことを考えた。
 静雄へ顔を向けると唇が降ってきた。帝人の顔中にキスを降らせる静雄。それを素直に受け止め、帝人は静雄を抱き締めた。
「…好きです、帝人さん」
「僕も大好きだよ」
 射精後の余韻と事後の独特の倦怠感に包まれ、少し虚ろだった帝人の目は、静雄の一言によって熱を帯びる。
「だから、もう1回」
「えぇ!?」
「初めに言いましたよね」



我慢できないかも

(できないんじゃない、したくない)



静雄は帝人の中から自身を抜くと、軽々と帝人を抱き上げ寝室へと向かった。



* * * * *
リクエストは「甘々裏、年齢逆転、静雄が学生で帝人が社会人、静雄が帝人に敬語」でした。
…あれ、甘々裏になってますか?つかヤってるだけですいません。途中まで書いた時に甘々の要素がないことに気付き、後半を無理やり甘くしました←
リクエストありがとうございました!


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