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フレスベルグと言うのは魔銃である為、銃弾は使い手自身の魔力であり、それもあって多少の狙いの誤差は修正される──

と、言うのが各々の脳内でまとまった結論だった。
でないと怖いと言うのもある。

「…ねぇ!やっぱりいるよ、ゴキブリ!」

さっきの形相が嘘のように消え失せたルイスがネロに訴えた。
一瞬ひるんだが、ネロはうーんと考え始める。こうも立て続けに出て来られると確かに嫌だ。

「どっから沸いてんだ?」

「若の部屋とか」

「ばっ、んな訳あるか!」

初代に向かって吠えた若を一瞥し、二代目が発言した。

「探すか?この際だし、掃除がてら」

と、言いながら髭をチラリと見た。髭はおいおい、と両手を顔の前に上げる。

「違うって」

「あんな汚い部屋、いてもおかしくないだろう」

ネロはふと自分が来た直後の事務所内を思い出してげんなりした。
用が無いので髭の部屋へ行った事は無いが、容易に想像がつく。さぞかしきったないのだろう、掃除のし甲斐がありそうだ。

ふたりから感じた恐ろしいオーラに髭はホールドアップ。

「オーケーオーケー、じゃあ見に行くか?」




ぞろぞろ七人でやって来た髭の部屋。ドアを開けた瞬間、思わずルイスが呟いた。

「うっわあ、おっちゃんの部屋きったない」

「ルイスはちゃんとキレイにしとけよ?」

「でないとゴキブリ出るぞー」

「ちょい待てお前ら、まだ出たとは決まってないぞ」

ネロと若に突っ込み、髭は部屋の中へ。
酷い散らかりようだ。雑誌やら服、果てはゴミまで床に散らばっている。バージルの溜め息が聞こえた。

「…おっちゃん、ここで寝てんの?」

ルイスにあからさまに嫌な顔をされて髭は軽く項垂れる。

「ほら、片付けんぞ」

見かねたネロが部屋に入り、投げされたTシャツを手に取る。と、何か別のものも一緒に取れた。

「ん?」

軽く揺するとTシャツだけが手に残り、バサッと音を立てて床に落ちたのは──

「……ルイス、お前は若ん所な」

「え?うん」

床に落っこちたそれがルイスから見えないように位置取りつつ、初代、バージル、若と共に移動させる。二代目は髭の部屋に残る事になった。

──エロ本がそこらに落ちている部屋をルイスに掃除させる訳にはいかない。

四人が移動し、その直前まで初代から憐れむような視線を受けていた髭の両隣でネロと二代目が微笑む。
女性ならば一発でKOされてしまうような魅惑の笑みは、しかし髭にはまさしく悪魔にしか見えなかった。

「…さ、掃除しような?」

妙に優しい声色のネロの顔を見る事は、髭には不可能であった。

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