2

午前2時15分、喉が渇いた初代がむくりと起き上がり面倒だからと靴も履かずに部屋から出たのは全くの偶然だった。

冷蔵庫になんかあったかな、と頭を掻きながら廊下を歩いていると、何やら音が聞こえた。ルイスの部屋からだった。

「……?」

足音を殺してルイスの部屋のドアに耳を近付けた。

『っく、ぐすっ…』

「!?…ルイス、おいルイス?」

しゃくり上げる声に、初代はドア越しに声を掛ける。と、ルイスが急いで布団を被るような音がした。
初代は控え目にドアをノックした。隣はバージルの部屋だ、あまりうるさくすると斬られる可能性がある。

「ルイス?」

返事はない。初代はもう一度声を掛けた。

「…入るぞ?」

返事はなかった。初代はドアノブを捻り、中に入った。

狭い部屋の隅に置かれた小さめのベッドの中央が盛り上がっている。ルイスが布団を頭まで被っているのだ。寝たフリをしているらしいが、時折ぐすっ、と鼻を鳴らす音が聞こえる。初代は布団の上からルイスの頭を撫でた。

「ルイス、起きてるだろ?どうした?」

「……」

「怖い夢でも見たのか?」

ルイスがびくりと身体を震わせたのが分かった。が、更に布団を深く被ってしまったので初代は閉口した。

「(どうしたもんかな…)」

考えたが、どうしようもない。

「…早めに寝ろよ?」

「……」

もう一度布団の上から頭を撫で、初代は部屋を出た。


あんな風になったルイスは見た事がなかった。
いつも明るく、元気で活発なルイスは、時に皆を元気付けて来た。なのに。

「(…また、なんも出来ねぇのかよ)」

初代は力なく首を振った。廊下のフローリングがやけに冷たく、足の裏が痛かった。初代は溜め息を吐いた。

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