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あの日から一週間、ルイスは絵本を読み続けている。気に入ったらしい。飲み込みは意外に早く、今ではひとりでも大体は読めるようになり、時々読めない単語を訊きに誰かのところへ持って行く事はあるが基本的にソファーに座り読んでいる。
本を読む時の眼差しがバージルに似ている、とネロが言っていたが、いまいちピンと来ない。そういうものなのだろうか。
アルファベットの書き取りもそこそこ自主的にやっているらしく、この間ボールペンを新しく買って来たのも記憶に新しい。まさかここにいてボールペンを使いきる日が来るとは。
そんなルイスは、今外出しているらしい。図書館にでも行くのだろうか──そう考え、若は机の上のそれに気付き手を伸ばした。
正方形の白いメモ用紙だ。
「皆いるのに書き置きか」
苦笑しながら初代が言うと、いいじゃんかと若が笑った。
「書きたかったんだろ」
若の横に来たバージルが腕を組み、小さく溜め息を吐いた。ただし口許は若干、ごく僅かに緩んでいる。二代目以外は気づかなかったが。
若はメモ用紙を持ち上げた。
その中央には、幼いながらもそれなりに丁寧な字が綴られていた。
"I'll go out. Lewis"
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