グッバイナイトメア




※そんなつもりは無かったのですが見ようによってはCPっぽいです




「(どうしよう……)」

モクバは兄の部屋の前で立ち往生していた。
時刻は午前2時。辺りはまだ真っ暗、完全なる真夜中だ。

「(兄サマ、寝てるよなぁ…)」

パジャマの裾を握り締めて俯く。先程見た夢が鮮明に脳裏を過り、ぶるりと背筋が震えた。
形容しがたいが、しかしあまりに恐ろしい夢。

「(兄サマ…)」

目尻に涙が滲む。が、兄は今日も遅くまで仕事だったのだ。こんな事で起こす訳にもいかない。

「(…やめよう)」

くるり、と踵を返して、重たい足を上げた。
その時だ。

「モクバ?」

「!」

がちゃり、と開いたドアの向こうにいたのは兄である瀬人。モクバが会いたくてたまらなかった人物である。

「に、兄サマ、」

「どうした、こんな時間に…」

モクバの目線に合わせるようにしゃがんだ瀬人の目は優しい。モクバは目を潤ませながら、目の前の兄に飛び付いた。

「!」

「うぐっ、に、兄サマぁっ、…」

「どうした…夢見でも悪かったか」

自分にしがみつきぐずぐずと泣く小さな背中をさすりながら言うと、モクバは震えながらも頷いた。

「そうか…モクバ、久しぶりに一緒に寝るか?」

「え?…ぐすっ、い、の?」

「ああ」

ふ、と笑って、モクバの小さい体を抱き上げ立ち上がる。
あやすように背中をぽんぽんと叩くと、瀬人の体温に安心したのだろう、やがてモクバの目がうとうとと閉じては開きを繰り返し始めたので、ベッドに入ってそっと抱きしめると、モクバの目蓋は完全に下りて、やがて規則正しい寝息が聞こえてきた。

「おやすみ、モクバ」

どうか今度はいい夢を。



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社長が誰おま




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