そういうゲームじゃねぇからこれ!
「主人格しゃまぁ」
「なんだ、僕の闇…マリオ?」
「マリオろくよんでぃーえすだじぇ」
先程から座り込んで何かやってると思ったら。3DSだってあるのにあえて何をやってんだこいつは…懐かしいな!
大方リシドが見つけてこいつに渡したんだろうけど。
「で、どうした」
「ここのステージが出来なくてねぇ…」
「えぇ…?なんだ、マグマかここは?何だったっけ…」
「ふぁいあばぶるらんどだじぇ」
「な、なんだって?ちゃんと喋れ」
ファイアバブルランドか?まったく、ベースは僕と同じ筈なのにどうしてこうも僕の闇の滑舌は壊滅的なんだろうか…。
「出来ないんなら別なところでスター集めればいいじゃないか」
「他も出来なくてねぇ…」
「まじか」
そんなんでクリアできるのかこいつ…
「主人格しゃま、主人格しゃまのデータはスター120個集まってたじぇ。ここやってくれないかねぇ」
「そうだったっけ…うーん…これやったの相当前だからなぁ」
そう言いつつDSを受け取る僕は優しいと思う。あー、こんなんだったっけか。
僕の闇の隣に座って、取り敢えずステージから出て操作確認。うわあ懐かしい!
「おおぉお、マリオがいきいきしてるじぇ」
「いやいや、んな訳あるか…あれ、お前、ウサギ捕まえた?」
「捕まえられない…」
「どんだけだよ」
見る間にしょぼくれる僕の闇。
このゲームを知らない人のために説明すると、フィールド内を走り回るウサギを捕まえる事で一匹につき一つのミニゲームが開放されて遊べるようになるんだ。
「でも主人格しゃまのデータあるから別にいいかと」
「まあな」
「あー、ウサギ見てるとなんだかアイツを思い出すじぇ…」
「あー…アイツな…しかもこのウサギ達鍵盗んだって言うしな」
「もう完璧にアイツじゃねえかぁ…」
僕の闇は複雑な表情で画面の中を跳ね回る盗人ウサギ(人だかウサギだかって言うのは置いといて欲しい)を目で追っている。
「それはともかく僕の闇、お前が色々クリアできないのは操作が不慣れなせいだ。特訓だと思ってウサギを捕まえてごらん」
「なるほどねぇ…」
僕の闇にDSを渡すと、一心不乱にウサギを追いかけ始めた。
しかしウサギも素早い。どんだけスライディングしても先回りしてもなかなか捕まえられない。
「ああぁあ…あああぁぁぁああぁあぁ!!」
「う、おおぅ…」
大変だ、あまりにも必死すぎて僕の闇の顔がかなり大変な事になっている!
こいつって僕がベースだよな!?どんなに頑張っても僕こんな顔にはならないぞ!?そもそも顔から血管浮き出るなんて!どうなってんだ!
「主人格しゃまぁ…」
「うん…もう少し頑張って」
さっきの顔芸はなんだったのか、一気に捨てられた仔犬みたいな目になってこっちを見てくる僕の闇。お前の表情筋どうなってる。
「ぐうぅ…捕まらないじぇ…こうなったら」
「?」
「wii…wii…」
「やめんか!あとこれDSだから!」
その呪文、事ある毎に唱えるけど汎用性高すぎだろ!何の効果があるんだよ!
「ククク…しゃあ、オレがたっぷりいたぶってやるじぇええ!」
「これ何のゲームだっけ…」
あとお前の方がいたぶられてる気がするの気のせいかな。さっきからマリオがごっつんごっつん壁に頭打ち付けてるんだけど。
「バクラアァァ!オレのヒップドロップで潰してやるじぇえ!!」
「待て待て無理だから!出来たらウサギ死んじゃうから!」
「まさにDEATH☆GAME!」
「うまい事言ったと思ってんの!?あとナチュラルにバクラっつったなお前!」
その後、いかにウサギを痛めつけられるかを三時間ほど模索し続けた僕の闇。
…スター集めろよ!
──────────────
なぁにこれぇ…