ダンレディ♂【4月1日】


テメンニグルの入り口、今は壁一面にびっしりと氷が張ってしまっている。
それも、今の今までそこに鎮座していた三つ首の犬の悪魔ケルベロス──今はヌンチャク状の魔具に姿を変えている──の仕業であったのだが。

「ふー、大したことねぇな」

氷の魔具ケルベロスを弄びながら、ダンテはつまらなそうに呟いた。
氷を剥がしてしまえば後は何て事はなく、攻撃も大振りなので彼の跳躍力ならば避けるのは容易い。

「なんかもっと楽しい事って──」

呟いたダンテの耳に、テメンニグルの外からバイクのエグゾースト・ノートが聞こえて、振り返る。と、案の定一台のバイクがこちらに突っ込んで来た。

「へえ、面白いじゃん」

ニヤリと笑ったダンテの顔面すれすれを、バイクが跳んで通り過ぎる。
スピンするように止まったバイクはやたらと改造が施されており、そこにはバイクと不釣り合いな、体躯の小さい人物が乗っていた。

「………?」

耳の下で切り揃えられ、無造作に跳ねた柔らかそうな黒髪。薄汚れた白いワイシャツに、チェックのハーフパンツ、白いハイソックス。靴は固そうな焦げ茶色のブーツ。
鼻には一文字の傷が走っている。

「(ふーん、オッドアイねえ…)」

大きな瞳は左右で色が違う。
くりくりとしていているが、険しい目付きだ。

「……Hey,lady.What's wrong? Shall I take you to your home?(どした、お嬢ちゃん?お兄さんがお家まで連れてってあげようか?)」

おどけて言うと、その人物は眉を釣り上げた。

「I'm not a lady!!」

バイクからロケットランチャーを取り出し、容赦なくダンテに向けて引き金を引く。

「おお、」

ダンテは愉しそうに笑い、背中の大剣に手をかけ銃弾を両断。
半分になって尚勢いを殺せずに天井に炸裂。

「すげーな、タダのお嬢ちゃんじゃあない訳か」

「だからっ、」

レディ、と呼ばれたその人は怒った顔でバイクから降り、ダンテに詰め寄る。ダンテよりだいぶ身長が低いので、見上げる形になる。

「(あ、かわいい)」

以外に睫毛が長い。


「──僕は男だっ!!」


「………へ」

ダンテは目をぱちくり、少年の顔を覗き込む。

「な、何だよ」

「え、だってさ、」

華奢な身体つきも相まって、スカートとか似合うんだろうなあ、とか考えてしまう。

「…えー、詐欺だろ」

「何がだよ!?」

ぎゃんぎゃん吠える少年を今一度じっくり眺め、ふむと息を吐く。

「…ま、それはそれでいいや。じゃーな、lady」

頭をグシャグシャ撫でると(髪が柔らかかった)、やめろよ!と低くなりすぎない心地よい声で非難され、ダンテは喉を鳴らして笑った。

「僕はレディじゃないっ!!」

むっとした顔で睨むレディを尻目にダンテは歩き出した。

ああこれはヤバいなあ、なんて思いながら。



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エイプリルフールでした。
30分で考えて書いたんでひどいっす…_ノ乙(、ン、)_



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