0503
2012/05/03 20:09

引き金を引くと、目の前の骸骨はあたかも砂糖菓子の如く砕け崩れ、辺りには役目を終えた砂だけが只散らばった。
青年はつまらなそうに溜め息を吐き、しかし実際は全くの無意識の内のものではあるのだが、結局片方しか使わなかった二丁の拳銃を背中のホルスターに仕舞って踵を返した。
瓦礫の山を鉛の靴でも履いたような足取りで(彼ならば鉛の靴でも何ら問題にはならないだろうが、比喩である)虚ろな目をして歩く青年ダンテの姿は、周りから見ればさながらドラッグ常習者のようですらあった。
ふと、彼は歩みを止める。
眼前には青いコートの青年が立っていた。

「バー、」

ダンテはそこまで言いかけ、口を閉ざしてしまった。

違う。

「……」

ただ、青いコートを着ただけの男。ただそれだけだ。
そして、ただそれだけの事がダンテの脳内を沸騰させたのもまた、事実であった。
こちらに気付かない男をいい事に、背中の大剣に手を伸ばし、疾風の如く肉薄すると、その肩から腰にかけて袈裟懸けに肉を引き裂いた。
悲鳴を上げる事すら叶わず絶命した男の青い布地に染み込む赤が黒に変わるまで、曇った瞳でそれを見つめていたダンテの中に、また罪が増えたのは想像に難くない。



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