「あ、いたいた。探したよ」「お、夏油だ」
小さめのビニル袋を片手に、いつもの胡散臭い笑みを浮かべた夏油が、長い脚を見せつけるようにゆったりとした足取りでこちらに向かっていた。少し前に「脚長いね、いいなあ」と言ってから奴は態とそうするようなった。やめろ。
「これ、お土産だよ」「お土産?」
袋に手を突っ込み、手を出してと言う夏油に両手を揃えて差し出すと、ころんと軽くて小さなものが落ちてきた。
「悟が駄菓子屋行った事ないって言うから、任務終わってから連れてってあげたんだ。可愛らしいものを見つけたからね、女の子ってこういうの好きだろう?」
「女の“子”って…夏油は私のこと何歳だと思ってるの」
手の中に落ちてきたものをよく見ると、小さな子供が好きそうな、おもちゃの指輪だ。
「いや確かに可愛いけどね。あのね、夏油くん、私は君と同い年なんですよ。いや、気持ちは嬉しいけど」
「…君もいらないの?さっき硝子にも突き返されて、コーヒー奢らされたんだ」
「硝子にも渡したの…チャレンジャーだね…」
ほら、と見せられたのは色違いの指輪だった。夏油は、時々私や硝子に可愛いの見つけたよ、とお土産をくれる。しかし毎回絶妙にずれていて、彼が買ってくるものは総じて年齢層低めで、きらきらしたものや、カラフルなものが多かった。
「わかったわかった。可愛いね、貰ってあげるからね、ありがとうねえ。夜蛾センに頼んで呪具にしてもらおうねえ」
「君、時々私のことめんどくさいと思ってるだろ」
「そんなことないよ、大事な同級生だよ、これからも五条のお守りは頼んだよ」「そうくるか」
硝子の分もあげるよ、と渡されたおもちゃの指輪を制服のポケットに入れると「君もジュース買ってあげようか?」と夏油は自販機がる方向を指差した。
「夏油、わたしたちのことを大好きだねえ」
面倒見がいい彼は、何かと私や硝子、五条の世話を焼きたがる。多分無意識だろうし、本人的にはやれやれ、しょうがないなあみたいな顔するけど。
「夏油のはわたしが買ってあげるね。いちごミルクで良い?」
「嫌がらせかな」