「ねえ、何と何で悩んでるの?」

任務完遂後、立ち寄ったファミレス。必死で戦った後は、それはもうお腹が空く。

「和風おろしハンバーグと、きのことチーズのリゾット。なあに、夏油半分腰よって言ってくれるの?」
「バレたかな」「色男だねえ」

メニューを指差す私にニッと笑う夏油は、店員さんを呼ぼうかとベルに手を伸ばした。

「はい、待った」彼の手を掴む。
「えっと、どうかした」
「夏油、ほんとに食べたい?私の選んだヤツ」
「何で…?食べたいよ」
「ダウト。夏油嘘吐く時ニッ!って笑うよ。せっかく食べるんだから、好きなの食べてよね。もう。私はどっち食べたって美味しいんだから」

私が告げると、夏油は口をむにむにさせて、上目遣いでこちらを見た。顔の良い人間の、こういう表情は本当にずるい。

「その、実は、私も食べたいもの迷ってたんだ」
「ほう、どれどれ?」
「…天ぷらそばと、生姜焼き定食、あとこれと、これも…それからこれも…あれこんなの合ったんだ、これもいいな」

ページを捲りながら食べたいものを根こそぎ指差す夏油に、私は声を上げて笑った。

「笑わないで」
「もう、夏油は本当に可愛いな。いいよ、食べたいもの全部頼もう!」
「…食べきれなかったら良くないし、それはどうかと思うけど」
「食べれる食べれる。普通の高校生よりお金は持ってるし!」
「…実は、君と硝子がよく食べ物を分け合ってるの羨ましかったんだ。悟は、甘いものしか食べないし…」
「もうっ!!いきなりっ!!可愛いことを言わないでっっ!!心臓に悪いっっっっ!!!」

私が胸を押さえてテーブルに突っ伏すと、夏油はベルを押した。

「ほら、公共の場で大声出さないで。恥ずかしいから」
「夏油さ、そういうとこあるよね、まあ好きだけど」



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