《 へんてこりんな 》 | ナノ
第壱夜

「アンタめちゃくちゃに顔白いわよ?」
「えー、マジすかサクラさん。」
「うん、ちょっと気持ち悪い。」
「ひでえ。」

グラウンドへ移動する最中、太陽に目を眇めていると、後ろからお呼びがはいったと思ったらこれだ。並んで歩き、とりとめもない話をしながらまた校庭へと目を向ける。ちょうど桜が満開で、気持ち悪いと私へ躊躇無く言い放った彼女の髪と同じ色にあたりを染め上げている。

「春だね。サクラの色がいっぱいだね。」
「アンタは体操服と同じ色してるわ。ジャージくらい着たらどうなの。」
「忘れちった。どうも最近調子のらないんだよなあ。」
「なに、名前らしく無いわね。物忘れが激しいのはいつものことにして、辛気臭いのも程々にしてよ、せっかく春なのに。」
「はーい。」

ぴー、ホイッスルの音がなって生徒達はわらわらと指定位置につき準備体操を始めた。そうしている間にも頭はふらふらするし視界は霞むし、ほんとにちょっとマズい気がする。

ていうか、駄目だこれ。

ぐるぐる腕を回すのと同じくぐるぐる回る頭の中で思う。力が抜ける。どすん、ぶつけた背中が痛い。ああ、目の前がまっぴんくだ。春だなあ。薄れゆく意識の中最後に聞こえた、せんせー名前がぶっ倒れましたー、緊迫感の無いいのの声がやけに耳についたまま目を閉じたら、ぴんくはくろに塗り潰された。


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