「ねえねえ銀ちゃん、」
「・・・なに、」
「もし私が居なくなったらどうする?」
「・・・」
「もし私が銀ちゃんの彼女じゃなくなったら、」
「・・・」
「もし私が銀ちゃんと出会ってなかったら、」
「・・・」
「もしわたしがもともと存在していなかったら、銀ちゃんは・・・」
ソファで寝転んでジャンプを読んでいる俺の膝の上に座って、俺に話しかけているのかそれともただの独り言なのかわからないことを言っている南子の腕を引っ張り、腕の中に納める。
「ねえ銀ちゃん、私が消えていなくなっちゃったら銀ちゃんはどうする?」
「・・・そうだな、消えねェようにしっかり抱きしめとく」
髪を撫でてやれば、擽ったそうに俺の胸板に頬擦りする南子。可愛すぎてこのまま抱きしめ潰してしまいそうだ。まあそこまで俺は狂ってねえけど。
「絶対離さないでね」
「・・・離すわけねェだろ。ずっと、」
ずっと、恋焦がれてやっと手に入れたんだ。
臆病でチキンで、逃げることしか出来なかった過去の俺はいなくなった。もう何もかも背負ってやるよ。いくら捨てても捨てても捨てきれないのなら、いっそ、全部、背負ってやらァ。
お前だけは捨てられなかった存在だったから、何度捨てても懲りずに俺の後ろを付いてきて、俺を優しく支えてくれたお前だから、もう離さねェ。
「二度と離すつもり無いから、覚悟しとけよ?」
「えへへ、悦んで」
ぎゅっと抱きしめて、南子の唇に優しくキスをした。
例えば君が 居なくなったら (すぐに駆けつけて) (抱きしめて離さない) <<