短編 | ナノ


※TWINの主人公





10月31日、23時頃。
暗闇を足音立てずに歩く人影が一つ、二つ、三つ・・・。
ブラックホーク、参謀長官の部屋で止まったその影は、勢い良く扉を開けた。


「「「 Trick or treat !! 」」」


が、中にいるはずの参謀は不在でもぬけの殻だった。
すると突然後ろから呆れたように吐かれた溜め息がひとつ。
彼は部屋の中ではなく、後ろにいた。手には常に保持している書類。


「貴様ら、一体なんのつもりだ・・・」

「ハロウィンだよアヤたん!」

「アヤナミさま、トリックオアトリート!です」

「お菓子くれなきゃ悪戯するぞ!」

「むしろお菓子くれても悪戯するぞ!」


きゃっきゃっと騒ぐのは、悪魔の仮装をしたヒュウガを先頭に、黒猫耳と尻尾をつけたコナツ(本人の意思ではなく強制)と魔女っ子の仮装のクロユリと真っ白いオバケの仮装(というよりむしろ白い布をかぶっただけ)をした南子。
その隣で見守っているパティシエの仮装(家から持ってきたらしい)のハルセと執事の仮装のカツラギ。
アヤナミ以外のブラックホークのメンバー全員が仮装をして、ハロウィンである今日を満喫しようとしていた。


「アヤナミ様にもご用意してあります。もうそれはとっておきのものを」


カツラギがそれが入っているだろう袋を渡す。
アヤナミは受け取って中身を見るが、黙り込んで、目を細める。
くだらぬとでも言いたげな顔にヒュウガはブーイングをする。


「駄目だよアヤたん、季節の行事なんだから」

「アヤナミさまの仮装姿見たい!ね、ハルセ!」

「ええ、是非」

「アヤナミさまが着てくださらないと楽しめません!」

「そうですよ!一番こういうの似合うぷぷっ人が着なくてどうするんですかアヤナミさん!」

「それはどういう意味だ、南子?」


南子の首らしきあたりを片手で掴むアヤナミに南子はもがく。


「そんなことだろうと思ってとっておきのものを用意したんだよアヤたん!ってことで一旦中に入ろう」


ぞろぞろと勝手に部屋に入っていく面々を見てまたアヤナミは溜め息を吐いた。

ソファに座るアヤナミの目の前に南子が立っていて、その両脇にクロユリとコナツ。ヒュウガ達はアヤナミの後ろに立っている。


「ではお願いします、コナツ君、クロユリ君」

「いくよ、コナツ!」

「はい、クロユリ中佐!」

「へーんしん!!バッ」


掛け声と共に、真っ白い布(おばけ)を二人が剥ぎ取り、中から出てきたのはシスター服を身にまとった南子。


「ほんとはもっとエロエロな感じにするつもりだったんだけどさ、」

「すいませーんかわいくて。てへぺろっ☆」

「早くそいつにさっきの布を被せろクロユリ、コナツ」

「「はっ」」

「ちょちょちょ、私の貴重な変身後衣装が!」


二人が大きな白い布で南子を包む作業に取り掛かった。


「アヤナミ様もどうぞお着替えください」


ハルセが言ってみるが、アヤナミはなかなか着替える様子はない。
やはり駄目かと誰もが諦めたとき、カツラギがそっと呟く。


「アヤナミ様の仮装姿を見たら南子さんも喜ぶと思ったのですが・・・」


それに気付いたヒュウガとハルセも続けて呟く。


「南子さん、一番楽しみにしていましたからね・・・」

「最近忙しくて構ってあげられなかったから寂しかったのかもね・・・」


すっとアヤナミが立つ。


「カツラギ大佐、」

「はい、かしこまりました」


----- 5分後 -----


「ひゅう〜。さっすがアヤたん、着こなしてるねえ」

「南子、アヤナミさまかっこいいよ!ほら!」

「(ナニあれナニあれマジかっこいいイケメンすぎる美しいにも程があんだろうわ直視できないなんかこっちが照れるつか誰なのあの人アヤナミさんなのか本当にありえないよ服だけでここまでかわるものなのか叫びたい発狂しそう飛び掛って襲い掛かりたいなんて心の中じゃ思ってるけど実際は殺されるからやらないけどねとりあえずいろいろやばいわ)ソウデスネー」

「・・・これで満足か?」

「ぐふっ」

「うわああ南子さんが白い布を被って床をごろごろ転がり始めたんですけど怖いですどうすればいいんですか」

「うわーん南子が壊れちゃったよハルセー!」

「大丈夫ですよ、アヤナミ様がすぐに直してくださいますから」

「ハルセ君、意外と言いますね」


避難する(引いてる)ブラックホークのメンバー。白い塊にただ一人向かうのはアヤナミだった。
ごろごろと動いていたためそれを停止するためアヤナミは白い塊を足で踏みつけて止めた。ぐえ、という声と共にそれは止まる。


「お前のためにわざわざ着替えてやったのだ、何故逃げる」

「ちょ、入ってこないでくださいよ!うわこっち見ないでアヤナミさん!」


手で顔を隠す南子にアヤナミは気にせず近づく。
そっと覆う手をアヤナミが掴み、顔を見つめる。


「・・・真っ赤だな」

「ちょっと熱出てきたかもしれないかなー」

「・・・南子、」

「っ、そんな至近距離で囁かないで下さいよ・・・!」

「仕方ないだろう、こんな布の中にいる貴様が悪い」

「なっ!だってアヤナミさんが!」

「私が・・・何だ?」

「・・・かっこよすぎるんですよアヤナミさんのアホーーー!!」

「・・・アホは余計だ」


きゅっと目を瞑って真っ赤にしながらも耳を塞ぐ南子。
アヤナミが優しく南子の頬に触れると、耳を塞いでいた手がどけられ、そこに囁いた。


「Trick or treat?」


ちゅっとリップ音が木霊して、耳に柔らかい感触が後から伝わってきて耳に熱が集まる。
耳にキスされたとわかるまで数秒間南子は一時停止し、アヤナミは妖しく口元に笑みを浮かべた。








----- キリトリ -----

どうしても書きたかったので一発書き!なので文章おかしいかも…
ヒロイン、なんか書いてるうちに別人になってましたw
アヤナミさまは青白くて冷たくて美しくてまんまヴァンパイアですね、でも死神ですねw
ヴァンパイアの仮装をさせてからこのネタ前にもやったって気付きましたすいませんww

ヒロインの心の声まんま自分…



 

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