これはいったいどういうことなのか。
朝目が覚めて、二度寝しようと横を向いたら美人が寝ていた。いや、美人というのは普通女性に使う言葉なんだろうけど、この人だけは特別だと思う。本人に言えば何されるかわからないけど。無論知りたくもない。
そんなわけで、ばっちり目が覚めてしまった私はとりあえず距離をとろうとベッドから出ようとした。
のだが、いきなり抱きしめられ身動きが取れなくなってしまった。
何このライオンに捕らえられたシマウマみたいな図。っていたたたた強く抱きしめないでくださいライオン様。私は抱き枕じゃありません。あ、そうだ今度から抱き枕買っとこう。
「起きてくださいアヤナミ様」
「ん・・・」
なんとか身体を揺さぶり、声をかけてみると、アヤナミ様は目を開けた。
安堵して、離して欲しいことを伝えようとするが、アヤナミ様は私の存在を確認してまた目を閉じてしまった。
は?
いやいやいやいや。
無視ですか!確かに見た。私を。そんな当たり前のように寝てもらっては困る。というか私が二度寝したいのだ。
「アヤナミさっ!?」
もう一度声をかけたとたん、私の視界は一転して、天井とアヤナミ様をうつしていた。
は?
いやいやいやいやいや!
え、何ですかコレ。何でアヤナミ様に組み敷かれているんですか?
しかもしかもアヤナミ様の表情をじっくり観察してみると、前髪で目が見えないけどなんだかご立腹なご様子。私の頭の中は危険というシグナルが発信されている。確かに脳が私の身体に逃げろ、全力で逃げろ。と命令を出しているはずなのだが。おかしいな、動きません。身体がストライキを起こしています。そんなここは帝国軍だぞ、ストライキなんか起こせる余裕なんかないんだぞ、と私の心の声がなんか言っていますが、私は今物凄く現実逃避したい。
「どうされました?参謀長官?」
だんまり。
「あ、もしかしてお仕事の疲れが出たんですか?」
だんまり。
「うー・・・欲求不満ですか・・・?」
だんまり。と、意味深げな不吉な笑み。口角を上げて、お怒りの上司は言う。
「そうだな・・・お前の言う通りだ。解消してもらおう」
一瞬何をされたかわからなかった。初めてというわけではない。でも、それが接吻だったと理解するのには時間がかかった。
「抵抗しないということは了解ととっていいということだな」
「いや一人で納得して先に進めようとしないでください」
「・・・なんだ、文句でもあるのか?」
「その、理由くらいは聞かせてもらえませんか?」
「・・・わからぬのか?」
「え、」
「貴様が私にしたことが、」
「え、え?」
「昨日のことをよく思い出せ」
「昨、日・・・あ、あ?ああああ!?」
「思い出したか」
「ごめんなさいごめんなさい!いや違うんです昨日はその、あれ、いつも以上の疲れが出てしまって、絶対起きてるって自分に言い聞かせていたんですけど、睡魔には勝てなくて!」
「・・・酒を飲んでいたのはなぜだ」
「あ、勝手に飲んですいません。でもお酒の力を借りれば大丈夫ってヒュウガが無理やりにでも飲ませてきたんで、その、私もその気になっちゃって・・・」
「・・・ヒュウガは後回しだとして、その前に貴様だ」
ヒュウガ超逃げてー。でも自業自得か。
「さて、どんなお仕置きがいいか」
「まま待ってください、本当に待ってたんですよ!」
「・・・ああ、途中で目を覚ました貴様が酔った勢いで私に抱きついて接吻してきてそのまま「あああああああああああああああああああああああ!!」・・・」
夢じゃなかった!あれは夢だと思っていたのに!!ははは恥ずかしい!穴はどこだ!?
「・・・そのまま誘惑してきて私をその気にさせときながら、アホ面で女とは思えぬくらいのいびきをかきながら寝てしまったお前はどうやって私に許しを請うつもりだ?」
「わかりました、もう何でもあなたの言うこと聞きますからその忌まわしい記憶を忘れてください」
「ほう?・・・何でも聞くと言ったな?」
アヤナミ様が妖艶に微笑む。その表情にまた酔ってしまったと言ったらなんて言われるのだろうか。
彼の顔が近づいてくる。ベッドがぎしぎしと音を立てる。心臓がどくどく響く。
キスをされるのかと目を瞑っていたけど、いくら待っても唇に違和感が来なくて、目を開けると彼の低い声が耳をくすぐった。
「私に全てを捧げろ」
耳元で囁かれて、頭がぼーとした。そのままの体勢で耳を舌で遊ばれて、まるで耳が性感帯にでもなったかのように、耳がとろけそうに熱くなって、彼に身を委ねるしか術はなかった。
-----キリトリ-----
掲示板にてネタをいただきました!
おいしかったです(^ω^)mgmg
ありがとうございました!
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