ある日のことだった。
ヅラ、もっさん、高杉さんが帰ってきて、銀さんだけが帰ってこなかった。
「大丈夫じゃ南子、もうすぐ帰ってくるき」
「うん、」
就寝時刻はとうに過ぎてる。いつもなら銀さん達が帰ってくるまで寝ない私を気遣ってなるべく早く帰ってきてくれるのに。そうして私を安心させてくれるのに。
私が下を向いて俯いている間、もっさんは優しく私の頭を撫でてくれた。
部屋は幹部だけが集まっていたけど誰一人言葉を発する者はいなく、静まりかえり、時計の針が動く音だけが虚しく響いていた。
「私、少し外を見てくるね」
立ち上がり、部屋を出た。いや、正確に言えば、出る前にヅラの一言で立ち止まってしまった。
「お前が行ってもどうにもならんぞ」
私は俯いたまま小さくうん、と呟き部屋を出た。
辰馬は眉を下げて、
「ヅラ、もうちょっと言い方ってもんがあるぜよ。あれじゃ南子がかわいそうじゃ」
「・・・あれくらい言わなければ銀時を探しに行ってしまうだろう」
「そうじゃが・・・」
「俺も見てくる」
意外な人物からの言葉に坂本と桂は驚いて目を開いた。
「高杉、頼んだぞ」
桂は腕を組んで目を閉じ、
「わしらは明日のことでも話し合っておくかの」
坂本はいつもの笑顔でそう言った。
高杉は目で二人を確認すると、何も言わず出て行った。
(私は何も出来ない)
(あいつが気になる)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いったん区切り
*前 次*