私は今銀さんと一緒に並んで歩いている。
ドキドキが増してぶっ倒れてしまいそうだ。
ただ案内をされているだけなんだけどね、
「ここがお前の部屋な」
「え?」
何もない殺風景な部屋。でも広々としていて、一人分には少し広すぎるような気がする。
「布団とか必要なものは後で持ってってやるから」
「はい。ありがとうございます」
私なんかが1つの部屋を使っていいのだろうか?
「あ、お前風呂入ってこいよ。その間に布団敷いといてやるから」
「ええ!?そんな何から何まで!そのくらい自分でやります!!」
「お前布団あるとこ知らないだろ」
「・・・・・・」
「あー・・・着替えがねェか・・・。風呂あがるまでには何とかしとくわ。だから心配せず入ってきていいぜ」
「本当になんかすみません。じゃあ、お言葉に甘えて」
私は先ほど教えてもらった風呂場へ直行した。
何だか調子が狂う。
銀さんがしっかり者過ぎるというか、私がずっと見てきた万事屋を営んでいる時の銀さんとあまりにも違う。
だってグータラでプーって設定じゃん、銀さんって。
なんだかあの目の奥に悲しみを潜めているようで、万事屋時代の銀さんはこう・・・吹っ切る事が出来て、前を見てる感じがする。今の銀さんは、まるで知らない人だ。
(知らない銀さん)
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