「うわ、ぶかぶかだ。こういうときは思いっ切り裾上げれば・・・」
着替えてすぐに私は一度自室に戻った。
「本当に布団やってくれたんだ」
さっきまで何もなかった部屋に布団と枕が綺麗に敷かれていた。
本当に、銀さんなのかあの人は。
なんだか少し不安になりながらもみんながいるであろう大広間へ向かった。
廊下からでも聞こえるガヤガヤという声。なんかもめているようにも聞こえる。何かあったのかな?
バレないようにそっと戸を開けて入った。
・・・アレ?何で私こそこそしてるんだろ?
「テメーか銀時、人の着流し勝手に持っていったのは」
「だって仕方ねェだろ、女もんの着物なんてねェし、一番小せェのお前のしかねェじゃん」
「高杉、それくらい許せる寛大な心を持たぬようでは侍として恥ずべきことだぞ」
「こっちもこっちで恥ずかしいとも思うがのーアッハッハッハッ」
「アッハッハッじゃねェーよ、死ね黒もじゃ」
「なんでわしだけ?」
非常に入りづらいんですけど!声かけ辛いんですけど!!
ここは勇気を振り絞って、
「あ、あの・・・どうかしたんですか?」
途端に振り向く4人。
銀さんはニヤニヤしてるし、桂さんは・・・よくわかんないや。坂本さんは笑ってて、高杉さんは・・・もの凄い睨んでるんですけど!
不機嫌なの丸出しだよ!
何ですか、何かしましたか私!?
「張本人のお出ましだぜー、高杉?」
「・・・・・・」
「少しぶかぶかそうだが思ったよりは平気そうだな。後で買い物に行かないとだな」
「南子、一応高杉にお礼言っておくぜよ」
「何でですか?」
意味がわからん。なぜ睨まれてるのにお礼?
「その着流しな、高杉のなんだわ」
「え?」
思考停止。
「はああうああああえええええ!?」
「良いリアクションじゃーアッハッハッハ」
「良かったな、喜んでるみたいだぜ」
「アレのどこが喜んでんだよ」
いやいや、もちろん喜んではいますよ高杉さん!
でもさ、これ・・・高杉さんの?今着てる、コレが?
ちょっと待とう。うん、だってさ、今私高杉さんと険悪なムードの最中じゃなかった!?さっきもすごい睨んでたしさ!
・・・気を使ってくれたのかな?
それにしては空気読めよ。もっとマシなやり方があんだろ、コレはないよコレはさ。
「私脱ぎます」
「いやいやいやいや!!」
脱ごうと帯に手をかけたら銀さんに全力で止められた。
ぎゃーぎゃー騒ぎまくって、笑い声がずっと響いた夜だった。
(高杉さんは一人うなだれていた)
*前 次#