幼なじみは鬼畜系 | ナノ

アヤナミ先輩、その人は、小さい頃から変わっていた。


05::幼なじみ



幼稚園、いつも一人でいて、無口で、誰にも馴れ合うことなく、孤立した存在だった。周りと少しズレている性格や趣味、能力で特別視され、同年代はもちろん、大人達でさえ彼を気味悪く思って避けた。
小学校、学力、武力共にどんどん進化していく中、何かに目覚めたように、ありとあらゆる玩具、気に入った物を全部自分の物にして支配する。詳しく説明すると、気に入ったもの(玩具)は全てアヤナミ(先輩)が奪って自分の物にしてしまい(俺の物は俺の物、お前の物はお前の物、という、かの有名なジャイアニズム)、使う為には、アヤナミ(先輩)に等価交換になる物をあげなければ使えない、というものだった。
中学校、今まで友達(と言えるかは不安だが)のようなものを作ったことが無かったアヤナミ先輩が、ヒュウガ先輩と出会い、よくつるむようになる。ここから鞭を使い始める。今のアヤナミ先輩の土台みたいなものはこの時で完璧なものになった。でも、ヒュウガ先輩のおかげで少し、アヤナミ先輩の心が開いたような気がする。

今では笑える話だけど、その当時は死ぬほど怖かった。どの時も全力で。そして幼なじみでよく一緒にいたから、何かしらトラブルや、噂に振り回されてきた。

今日もまた、何かが始まろうとしている。


ざわつく道場内。ヒュウガ先輩はニヤニヤと気持ちの悪い笑みを張り付け、コナツはポカンと開いた口を塞ぐことなく固まって、アヤナミ先輩は抱きしめてきている腕を強くしてきた。


「…私は、玩具じゃありませええええん!!」


思いっきり叫ぶと、ざわついていた道場内はしんと静まり返った。ヒュウガ先輩は口に手をあてて、必死に笑いを堪えているようで、コナツは微塵も動かなかった。
アヤナミ先輩が腕を緩め、私を解放してくれる。


「あ、アヤナミ先輩、私、今までは怖くてちゃんと言えませんでしたが、今度はちゃんと言わせてもらいます」

「…………」

「今までさんざん、振り回されてきました。高校は離れられると思って、言わなくても大丈夫だと思ってましたから、言いませんでした。はっきり言わせてもらいますが、私は、アヤナミ先輩の玩具でも奴隷でもパシリでもありません!!」


言ってやった!!そう、私は今までアヤナミ先輩の玩具、奴隷、パシリとしてさんざんな目に遭ってきた。特にボンキュッボンの美しいお姉様方の嫌がらせは忘れられない……。卒業する時が来たんだ!私はアヤナミ先輩の幼なじみってだけで、幼なじみってだけで、友達が作れなかった!彼氏も!!
そうよ、私は、


「ただの、幼なじみです!!」





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