「入学おめでとうなこたん☆」
私は今、変な男に絡まれています。
03::部活見学
「ヒュ、ヒュウガ先輩!?」
「アレ?コナツ知り合い?」
「知り合いというか、中学の全国大会三年連続優勝した、剣道部だったなら誰だって知ってる有名な人だよ!」
そういえば……全国大会俺優勝したよ!、と自慢してた気がする。でも受験とかスパルタ指導の家庭教師とかで頭の中いっぱいいっぱいだったから聞き流してたんだよね。まあ興味なかったのもあるけど。
「南子は先輩とどういう関係なの!?」
コナツは私を押し倒すくらいの勢いで肩を捕まれた。
コナツが積極的に!
冗談はさておき、コナツに落ち着いて!と言って、
「ヒュウガ先輩とは「恋仲だよ」……は?」
説明しようとしたら、ニコニコと間延びした顔で淡々と、私の言葉を遮って言ってきたヒュウガ先輩。
コナツは目を見張って固まってしまった。
「ちょ、違うからね!私とヒュウガ先輩はそういうんじゃないから!!」
「照れてるなこたん可愛い」
「黙っててヒュウガ」
笑って頬を突いてくる先輩。凄く殴りたい。
コナツは名前で呼び合うほどの仲・・・、とさらに誤解をしている。
「ヒュウガ、そこで何をしている」
いきなりヒュウガの顔の横に竹刀が突き付けられた。
ヒュウガの後ろから聞こえるよく知ってる低い声、見忘れるわけがない銀髪、何度もトラウマになった突き刺すようなアメジストの瞳。
「アアア、アヤたん!!あっ!」
震えている先輩を囮に逃げた。ダッシュで。
でも直ぐにヒュウガ先輩に腕を捕まれ、逃がさんとばかりに強く握られた。
「逃げるなんてずるいよなこたん!」
「私に構わず逝って下さい!」
ギギギギと腕を引っ張るが、男の力に敵うわけがなく、ぐいっと引かれて受け止められた。
「私は関係ないんだから一人でお仕置きされ、……」
「なら何故逃げた?」
てっきりヒュウガ先輩が受け止めていたと思っていた私は、後ろを振り向いてフリーズした。
過酷な受験の日々がフラッシュバックする。
助けを請おうとヒュウガ先輩を見れば既に打ちのめされていた。
コナツは違う方向を見て目を合わせてくれない。
「裏切り者おおおおおお!!」
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