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「もう嫌だああああああああああああ!!!!」
「煩い」
「あだっ!」
初めて士官学校に行った日(つまりは今日だが)、帰ったら即寝ようといき込んで執務室のソファにダイブしたら、アヤナミさんに久しぶりの鞭をくらい、そのままアヤナミさんの部屋まで連れて行かれた。
そしてアヤナミさんは、いきなり私の鞄の中身を出すなり、ノートを見て、部屋の中心にある大きめの四角いテーブルに課題を広げた。何故課題が出されたと知っているんだ、と不思議に思っていたけどアヤナミさんもあの学校に行っていたとこの前ヒュウガ少佐から聞いたから多分経験からだろう。
眠いけど逆らえないので、渋々課題をやり始めたがさっぱりわからず、ノートを見るもさっぱりで、アヤナミさんに教えてもらっているのだが(もちろんアヤナミさんの教え方は凄くわかりやすい)、なかなか前に進まない。
普通の学校で教わるような数学などの計算の類は出来るんだけど、これはそういうものではなくて、闘い方とか戦法とか、軍に関しての知識とか凄く私の世界ではそっち系の詳しいところに行かなきゃ習わないものなのだ。しかも私は一からわからないのに、途中から入ったから余計に意味不明だ。
アヤナミさんのスパルタ(主に鞭)教育のおかげでなんとか基本知識は身に付いたが(これ奇跡)、それでも課題を一人でやることは出来なかった。
それで嫌になって叫んだら、アヤナミさんにすかさず鞭をくらい、今に至る。
「アヤナミさん〜少しだけ休憩しましょうよ〜」
「却下する」
「うわああああああああああ」
「あと2問で課題が終わるだろう」
「その2問が私にとっては大きいんですよー!」
「私も手伝っているんだ、もう少し頑張れ。これが終われば休んでいい」
「ううっ、もうそんなこと言われたら頑張るしかないじゃないですか・・・」
そしてさっきから、私はアヤナミさんの『アメと鞭』作戦にまんまとやられている。いつも厳しいからか、いきなり少しでも優しい言葉をかけられると頑張ってしまうのだ。
しかも、しかもだ。アヤナミさんは何故か眼鏡をしている。
やばい凄くかっこいい。眼鏡が凄く似合っている。いつもと違うのが新鮮で、それも私が言うことを聞いてしまう理由なのだ。というか、わざとだろ確実に。絶対私の弱いところ知っててやってるよね。
「アヤナミさんって、目悪いんですか?」
「いや、悪くないが」
「・・・じゃあ何で眼鏡なんてしてるんですかー」
「その方がお前がやる気を出すだろう?」
やっぱり確信犯かああ!!!
「と、ヒュウガが言っていたからそうしてみたのだが・・・」
ヒュウガ少佐の仕業かい!くそう、ヒュウガ少佐ありがとう。
「お前が嫌なら外すが・・・」
「外さなくていいです!そのままで!あ、でも集中出来なくな・・・いや大丈夫です!」
「そうか、」
外そうと眼鏡に手をかけていたアヤナミさんをなんとか思いとどまらせ、めがね萌えをなんとか死守出来た。それはそれで集中力がアヤナミさんに向かって困るんだけども。
「終わった!終わりましたよアヤナミさん!!」
「ああ」
よくやったと言わんばかりに、喜ぶ私の頭を撫でてくれるアヤナミさん。
「だが時間のかけすぎだ」
一言多いけど。
「もう疲れました〜。休んでいいんですよね」
「ああ」
ふうー、と大きく手を上に伸ばして背伸びをする。そのまま後ろに倒れて少し横になろうと思ったら、立ち上がったアヤナミさんに上に伸ばした手を掴まれた。
え、え、と戸惑う私を他所に、アヤナミさんは私の手を掴んで無理やり立たせてくる。地味に痛い。
「一つ言い忘れていた」
「な、何ですか?」
無言で部屋から出て行くアヤナミさん。多分付いて来いってことなのでとぼとぼアヤナミさんの後を追った。
「わー!!凄く綺麗で広い部屋!!」
案内されたのはアヤナミさんのすぐ隣の部屋だった。
「ここがお前の部屋だ」
「・・・へ?」
「ずっと部屋を用意出来なかったが、ミロク様が気を利かせて直ぐにつくってくださってな」
「は?つくっ、えええ!?いやありえないですよ!どうやって?」
「今日からこの部屋を使っていい。お前の荷物は既に移動済みだ。欲しいものがあったら私に言え」
「・・・は、はい」
凄いよ、早いよ。何でも有りすぎるよ。
「私と一緒に寝ていたいと言うのなら、考えてやってもいいが?」
戸惑う私の顔を覗き込んで言ってきたアヤナミさん。その表情にドキッと心臓が跳ねて急激に顔が熱くなる。今なら本気で顔から火を出せる。
「ひ、一人で寝ます!!」
-----キリトリ-----
色々ツッコミどころ満載
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