TWIN | ナノ
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会場に来てからだいぶ時間が経ち、パーティーは終盤に差し掛かっていた。
私は会場全体がダンスをし始めたので、立ち去るようにそそくさとその場を抜け出した。


「どこ行くのナコたん?」

「お手洗いですよー」


ヒュウガ少佐に適当に嘘をついて、いや、半分本当だが、お手洗いに向かった。とはいえ広すぎてわからなかったので、会場を出てから、とりあえず人に聞いて向かった。そこは意外と近い場所にあった。


「はああああああ、戻りたくねええええええ」


戻っても場違いなのは目に見えてるし、ダンスの最中だってのにばくばくと料理なんか食べてたらかっこうの笑いの的になるだろう。そんな恥を晒すくらいならこのトイレで静かな最後の一時を過ごした方がましだ。
よし、そうしようと一度出たトイレに戻ろうとすると、男子トイレの方から声が聞こえた。あれ?さっき入ったときはいなかったと思ったんだけど・・・?もしかしてこの人たちも同類だろうかと思ったが(多分違うに決まってるだろうけど)、何か様子がおかしいことに気付き、立ち止まった。
どうやら複数いるらしい。しかも個室であるトイレに入らず、話している。なんだろうと興味半分で、見えない程度の近くにまで行き、聞き耳を立てた。


「最後の曲が終わったと同時に爆発を起こす」


なっ!?爆発!?
まさか、この人達は、アヤナミさんが言っていた・・・。
急いでアヤナミさんに伝えなきゃ!!

ゆっくり後退しようと様子を伺っていると、いきなり後ろから口を塞がれ両腕を拘束された。


「んむ、んんー!」

「こんな可愛い子に見つかるとは、思ってもみなかったな」


その人はにこりと微笑み、私が盗み聞きをしていた敵と思われる奴らに堂々と姿を見せた。


「おい、お前は見張りのはずだろ」

「だからしてたじゃないですか、ほら」


この人たちは仲間のようだ。私は逃げられないように拘束されつつ、前へ出される。


「ただのガキじゃねえか」

「ガキかもしれないけど、もしかしたらそれを狙った軍のスパイか何かだったりしてね」


こちらを伺うような意地悪げな笑みが向けられて、私はすぐに目を逸らした。
何も言っちゃ駄目だ。


「まあ何にせよ、人質くらいにはなるだろ」




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