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私は朝から廊下や個人の部屋(内心ではイヤッホーウとか思いつつ)の掃除を頼まれた(というかアヤナミさんに命令された)ので、ずっとブラックホークの執務室に行かず、皆さんに会わず、せっせと働きました。
お昼頃になり、疲れてお腹も空き、大体綺麗になったので、皆さんのいるブラックホークに戻ると、それはそれは美しくイケメンな、まるでお伽話に出てくる王子様達のような方達がいらっしゃいました。もちろんその方達とはブラックホークの皆さん。いつもの軍服ではなく礼装に身を包んだ様は、誰が見ても息を呑むほどのもの。
ここで私の中に疑問が浮かびました。
・・・あなたがたは本当に軍人さんなのでしょか?
暫くドアの前で惚けていると、私に一番に気付いたアヤナミさんに呼ばれた。
「ナコたん、どう?俺カッコイイ?」
次に私に気付いたヒュウガ少佐がばっちりな決めポーズをしながら聞いてきた。
「カッコイイのレベルを超越してる気がします。写メ撮っていいですか、」
ぱしゃり、と既に構えていた携帯で一枚、二枚。僕も僕も!とクロユリ中佐がハルセさんとポーズをとってきたのでもう一枚、二枚。嫌だ嫌だと恥ずかしがるコナツさんをぱしゃりぱしゃりぱしゃり。隣にいるアヤナミさんをぱしゃ、
「ああああああああ!ぶれちゃったじゃないですか!」
「貴様も早く着替えろ」
ぱしゃり、
今度は上手く撮れた。が、
「そんなに死に急ぎたいか」
頭をギリギリと片手で、捕まれ潰すように力を入れられた。軍人である彼の力は相当強い。しかも容赦ないアヤナミさんのことだ。本当に殺される。
「まあまあアヤナミ様。時間もありませんし、彼女に説明もしなければなりませんからそのくらいにして、」
キッチンの方からすうっと出て来たカツラギ大佐。
ナイス助け舟!
「あれ?カツラギ大佐は着替えないんですか?」
「今回私はお留守番です」
そうなのか。カツラギ大佐の礼装も是非見たかったなあ。そしてカメラに。
「隣の部屋で今すぐ着替えろ」
アヤナミさんが仕方ないといったような表情で言った。
「隣の部屋って参謀長官室じゃないですか!?いいんですか!?」
参謀長官室なんてめったに入れないのに、ついてる!
なんて思ったのも意味無く、
「構わぬ。3分以内で着替えろ」
アヤナミさんは容赦なかった。
「いや全くもって無理です。10分で」
「仕方ない、5分にしてやろう」
「人の話聞いてましたか!?」
いち、に、と数え始めたので急いでアヤナミさんの手から服を奪い参謀長官室に駆け込んだ。
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