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目が覚めて起きると、いつの間にかベッドにいた。
そして何故か隣に美しい寝顔のアヤナミ参謀長官がいらっしゃった。上着を脱いでワイシャツとズボンというラフな格好のアヤナミ様が。
「・・・え?これは、何か間違いでも犯して「それはない」・・・おはようございます」
私の挨拶に小さく返事を返すと身体を起こして、時計を見たアヤナミ様。
はだけてる姿がエロいと思うのは私だけじゃないはずだ。
「まだ1時間あるか」
「なんで私はアヤナミさんと一緒に寝ていたのでしょうか?」
「・・・貴様が私の服から手を離さなかったからだ」
昨日倒れて寝てしまった私をアヤナミさんは親切に部屋まで運んでくれたらしい。信じられないが。しかし昨日眠りに堕ちる直前アヤナミさんを見たような気もする。そして運んでくれたうえ自分の部屋を使わせてくれるとか優しいな意外と。
その後、アヤナミさんは私をベッドに運んだもの、私がアヤナミさんの服を強く掴んでいたため、仕方なく居座って、そのまま寝るしかなかったらしい。
「すみませんでした」
とりあえずベッドの上で土下座して謝った。
「構わぬ、書類はほとんどチェック済みだったから支障はない」
「そ、そうですか・・・」
アヤナミさんがエリートで良かった。さすが参謀長官。
「アヤナミさんって鞭とか振るうくせに結構優しいですよね」
「・・・・・・鞭の方を好むのなら「違います」・・何故そう思う」
鞭が好きなやつなんかそうそういないですよ、って言ったら、頭を叩かれた。
やっぱりそっちじゃないか。
「私が優しいと言ったことの方だ」
あ、そっち。
叩かれた頭をさすりながら、
「だって、こんなまだ会って少ししか経たなくて正体不明のやつを、運んで寝かしたうえ一緒に寝てやる人なんか普通いませんよ?しかも、もしかしたら私がアヤナミさんの命を狙う輩かわからないのに・・・」
昨日アヤナミさんが上層部の人達に言っていたこと、確かにな、って思ってた。そんなことはありえないけれども。
「貴様が私の命を狙う輩だったなら、これほどまで馬鹿な刺客はいないだろうな」
「ばっ、・・・それもそうですね」
アヤナミ様に背を向けベッドの上にのの字を書いていじけた。
すると、抱き抱えられるように手が伸びてきて、頬に触れられてそのままアヤナミさんの方を向かされた。
「そうではない、貴様が私を殺すつもりなら、昨日の夜私と共に寝た時点で殺そうとしたはずだ」
「そんな卑怯なこと!」
「ほら、今もお前は暗殺者らしからぬ言葉を言う。暗殺は卑怯も何もない、殺すか殺されるか、だけだ」
慣れているような口ぶりが、今まで何度かそんな目にあったということを物語っているのだろうか。
それに、とアヤナミさんは続けた。
「昨日言ったことはあくまで追い払うためだ」
ほら、また。私を気遣かっている。
「やっぱりアヤナミさんは優しいです」
「・・・・・・」
にっこり微笑んでみせた。
するとアヤナミさんも少し笑った気がした。
「あまり遅くならないようにしろ」
そう言ってスッと立ち上がり、ドアを開けて一度こちらを見て、
「その寝癖も直しておくことだな」
と、出ていった。
直ぐさま洗面所に行き鏡を見ると、悲鳴を上げた。
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