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「もうやだ帰りたい・・・」
「ごめんって、引いたのは謝るよ」
何だよ、思いっ切り引いといて。軽蔑の目線が痛かったし。
「俺の嫁とは何だ、貴様は女だろう?」
「もしかして「違います」まだ男って言ってないじゃん!」
サングラスは放っておき(少佐と呼ばないのはわざとだ)、
「私は女です。俺の嫁はそのまんまの意味です」
「夫ってこと?」
「いえ、俺って一人称は女の子だって使う子もいるでしょう?」
「そうなの?随分男らしい女の子がいるんだね」
「まあ意味は要するに嫁にしたいほど好きだってことです」
「・・・へ、へえ〜」
「もう帰りたいいいいいいいいいい!!」
「ごご、ごめんって!ちょっとあの・・・引いちゃっただけだよ!」
「引いてんじゃねえかあああああ!」
手錠した腕を器用に動かしサングラスをゴスゴス殴った。アヤナミさんはは怖いし似てるし美しいから殴れねえ。
「とりあえず、貴様の身柄は私達が引き受けよう」
「え、いいんですか?」
「調べれば直ぐに貴様の正体もわかる。家に帰すまでだ。それまではこちらで何とかしよう」
以外といい人だった!やっぱり坂田似の人だもんね。
「ありがとうございます。あ、手錠と足枷は・・・」
「コナツ、外してやれ」
「はい」
コナツと言われた金髪の子が鍵で手錠と足枷を外してくれた。
良かった。
「そういえば、一応お世話になるので名前をお伺いしたいんですが」
「俺はヒュウガで知ってると思うけど階級は少佐。で、こっちがアヤたんだよ☆」
「ヒュウガ・・・」
「うわ、ちょ、冗談だってちゃんと紹介するから鞭はやめて!」
バシンッ
有無を言わさず鞭で叩くアヤたんさん、間違ったアヤナミさん。痛そう・・・
「私はコナツ=ウォーレンと言います。ヒュウガ少佐のベグライターをやっています。アヤナミ参謀長官、ですから、あのような呼び方をするのは少佐だけなので気になさらないで下さい」
「は、い」
淡々と述べるコナツ。慣れているのか。
でもどうしてヒュウガ少佐だけ・・・は!まさかあの二人には人には言えない秘密が!?
「ナコ、今不愉快なことを考えてるように感じられたが?」
「き、気のせいでは?」
な、なんでわかったんだ。
腕の裾を引っ張られて後ろを振り向くと青髪の人に抱き抱えられているピンク髪の可愛い子がいた。
「僕はクロユリ、階級は中佐だよ」
「ハルセと言います、クロユリ様のベグライターです」
なんか親子みたいな兄弟みたいな二人だ。
でもあんなに小さいのに中佐・・・今時の子は恐ろしい。
「私はカツラギと申します。階級は大佐です」
優しそうな人だなあ。この中で一番頼りにしてよさそう。
「ナコたんも自己紹介してよ☆」
「え、私もですか?」
皆揃って頷いた。
もう名前を知っているからいいのに、
「わ、私はナコ、ジユウと申します!好きなものはお菓子と可愛いものです!これからお世話になります、宜しくお願いします!」
言い終えて、頭を下げた。
「宜しく〜〜☆」
「色々聞いてくださいね」
「たくさん遊んぼうね!」
「甘いものでしたらいつでもお作りしますよ」
「困った時はいつでも言って下さい」
上からヒュウガ少佐、コナツさん、クロユリ中佐、ハルセさん、カツラギ大佐。
うわあ、なんていい人達なんだろう。こんな知らないやつを世話してくれるなんて・・・。人の温かさを感じるよ。
「グス、ありがどうございまず」
鼻声になって涙を堪えていると皆してどうしたの!?、と心配してくれて・・・。
ふと頭にぽん、と手が置かれた。見上げてみたらそれはアヤナミ参謀で、
「ようこそ、我がブラックホークへ」
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初対面なのに皆優しくしずきてしまった気がする。特に参謀。
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