7/66
「ああ気持ち悪い・・・石飲んだなんてありえぬええ」
「でも通じるようになったからいいじゃん☆」
いいのだろうか・・・腑に落ちないが仕方ない、忘れよう。
「ねえ、どうやって来たの?」
ピンク髪の子が見上げるように私の前に来た。くっ、可愛い。
「私もよくわからないんです。ここに来る前、壁が迫って床が崩れてここに落ちたんですが・・・ありえないですよね。」
はは、と笑うとみなさん困惑の表情。これじゃ私が頭おかしいみたいじゃないか。
「ナコたんは何区にいたの?」
なんで名前知ってるんだろうと思ったら、さっきの会話から(アヤナミさんの言葉)でわかったらしい。
そして何区ってなんだろう。危険地帯第○区、っていう映画があった気がする。それはないか。
「先程私でも知らぬ地名を言っていたな。それに、軍を知らぬようだったが?」
私でも・・・だと?アヤナミさんに知らないものはないってこと!?
アヤナミさんの性格がわかってしまった気がする。
「日本のことですか?」
「日本?何ソレ?」
え、ええええ!?日本国を知らないだと!?一応先進国だし有名なんじゃないのか!?あんな小さな島国だけども!それとも少佐もアヤナミさんも世間知らず、には見えない。それに周りの人達もどこだそこって顔してる・・・。
「日本って聞いたことないんですか!?ジャパンですよジャパン!ジャポンか?」
「アヤたん知ってる?」
「・・・・・・」
本当に知らないんだ・・・。
「軍のことを知らないってのは?」
少佐が切り替えて尋ねてきた。
「いや、知ってはいます。ただビックリしてしまって・・・なんで軍の中にいるのかわからないし、しかもその、少佐って階級結構上の方じゃありませんでした?」
「そう?俺なんかよりアヤたんの方が凄いよ。なんたって参謀長官だからね☆」
さ、ささささささささ参謀長官だとおおおおおおおおお!?
危うく倒れそうになった。参謀に私はさっきから色々となんか失礼なことを・・・だが美味しい設定だよね。
「私の国では軍はないから(とはいえ自衛隊はあるけどあれは軍じゃないと思う)あんまり詳しいことはわからなくて・・・」
「軍がないの!?」
「よく生き残っていられましたね、貴方の国は・・・」
三編み眼帯の子、はちみつのような髪(に見えてきた)の少年が言った。
「まあ色々あったんですが」
「変わった国だね〜。バルスブルグ帝国はザイフォンが出せるならほとんどの人間は軍人に憧れたりするのに、君の国はどこでザイフォンを活かすの?」
今わからない単語が出て来た気がする。ザイホウ?財宝!?
「財宝を出せるってどういうことですか!?」
「財宝じゃなくてザイフォンね。知らないの?」
全くわからん。
「これ知らないの?」
そう言ってピンク髪の子が両手を広げると、そこから黒い文字を出した。それはだんだん丸くなって、球体になった。これが・・・ザイフォン!?
「ええええええええ!?ナニコレスゴイコレナニコレエエエ!?」
「ザイフォン知らないなんて変なの」
可愛い子に変って言われた・・・。
落ち込んでいると、少佐がまた尋ねてきた。
「あともう一つ聞きたいことがあるんだけど」
「なんでしょうか・・・」
泣きそうになりながらも涙を堪えて答えた。
「アヤたんにそっくりな赤眼の彼は誰?」
携帯の待受画面の坂田のことか。忘れてると思ったのに。殴れば忘れるだろうか・・・いや、その前に少佐なんかに殴り掛かれるほど私は命知らずではない。
「あー、あれは・・・その、」
少佐はニコニコしながらこっち見て・・・って、何故皆そんな興味津々な真剣な眼差しで見てんの!?
「ねえ、聞いてるんだけどな」
ニコニコしてるけど目が笑ってないこのサングラス!!
言えないよ、坂田はアニメの人で大好きな人とか気持ち悪いとか思われるしオタクって言ってるようなものだし、軍人さんに言うのは余計にハードルが!!
それでも話を変えることなく早く吐けとばかりに刺さるような視線が降り懸かる。こうなりゃ吹っ切れるしかあるめえ!
「坂田は・・・俺の嫁だああああああ!!」
「・・・・・・・・・」
そこにいた者全てが固まった。
アレ?
*前 次#