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私は銀髪の人に鞭で首を絞められそうになっています。というかもう絞められてるも同然です。
「これに何があるのだ?」
「何もありませ、ぐっ!、苦じい゛でず!!」
鞭痛いよ怖いよ何なのこの人。今時鞭を使っているなんて、私とんでもない人と関わってるに違いない。
「アヤたんには逆らわないほうが身のためだよ〜」
アヤたん、さん?坂田じゃないのか?
「ってちょああああああああ!!」
携帯を開いて(私の携帯は折りたたみ式だ)画面を見た瞬間、固まったアヤたんさん。無表情であった彼の目が見開かれたように見えたが気のせい・・・だよね。
「何々〜・・・・・・!?」
「少佐まで固まってどうなさっ・・・これ、アヤナミ様!?」
サングラスガイと金髪ボーイに見られた。土管があったら入りたい。
最終的に全員に携帯を覗かれ、ジロジロと・・・そんなに見るなああああああああああああ!!!
「あ、でもよく見ると瞳の色が違う。アヤたんの瞳はアメジストの紫だから。彼は赤だよ」
「あ、ほんとですね」
サングラスの人と金髪の男の子が携帯を覗きながらアヤナミさんを見比べつつ言った。
瞳の色?
アヤナミさんを見上げると、目が合った。思わず気まずくて下を向き逸らしてしまったが。でもしっかり見えた。
(紫だ。坂田なわけがないか、)
「貴様は何者だ?」
顎を掬われ、冷たい目で見てくる坂田似(だと思ってるのは自分だけかもしれない)のアヤナミさん。・・・睨まれて死にそうです。
「貴方こそ、何者ですか?」
涙を必死に堪え震えながらも強気に言った。・・・しまった、言葉通じないんだった。
「・・・私はアヤナミだ」
「!ナコです、ジユウナコ」
「・・・ジユウが名前か?」
「あ!ち、違います!間違えました、ナコジユウです!」
「ナコが名前だな?」
「はい」
外国だから反対になるのか、忘れてた。
「あのここって何処ですか?」
「バルスブルグ帝国、第一区、ホーブルグ要塞の中のブラックホーク執務室だ」
え?バル・・・バルス?あの天空の城を解き放つ呪文?というか帝国って言った?
「貴様はどこから来た?」
「日本です」
「・・・・・・」
眉間にしわを寄せ不愉快そうな顔をするアヤナミさん。
「あの、着ていらっしゃる服って、まさか軍服じゃ・・・」
「ああ」
「先程サングラスをかけた方を少佐、とか言ってましたが・・・」
「・・・知らぬのか?」
本物!?本当の軍人さんでしかも参謀に少佐!?階級確か上の方の人達じゃ・・・
顔を青ざめていると後ろから抱き着かれて驚いて振り返れば、少佐(らしい人)だった。
「二人でばっか狡い〜。俺達彼女が何言ってるかわかんないし」
口を尖らせ言うその人。格好いいのに可愛いとか反則だろ!
というか早く離れてくれないだろうか。今にも禿げそう。
「聞き取れるなら話せるのではないのか?」
アヤナミさんがこちらに目線を送って聞いてきたがそれが出来たらもう話してるところだと思う。
そういえばどうしてアヤナミさんはわかるんだろう。
「アヤナミ様、鞄の中にキラキラした石が入ってました!」
ピンク髪の子がたたたた、とアヤナミさんに駆け寄る。愛くるしいいいいいいい。アヤナミさん両手広げて受け止めたりしてくれないだろうか、それかぜひとも私が変わりたい。
というか、あんな石見覚えないな。
「何ですかそっ、」
れ、と言う前に足枷をしていたことを忘れていた私はアヤナミさんとピンク髪の子に向かって盛大に転んだ。
でも間一髪でアヤナミさんに助けられ、地面にぶつかることはなかった。が、
「☆○◎◇□△▽×!!!」
石を、飲んでしまった。
「うえー、石飲んじゃったー気持ち悪っ」
「!言葉わかる!」
「え?」
少佐が言って、他の人もわかると驚き頷いた。
「何をした?」
「さ、さあ・・・」
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