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「ナコたん」「ナコ(さん)」
「合格おめでとー!!」
ぱんぱん、とクラッカーが鳴り響いて飛び出てきた紙吹雪が私の頭に降り注いで髪の毛に絡まった。私は目をまん丸にして大きな口を開けていた。そんな私をクロユリ中佐が腕を引いて席に連れてってくれた。いつもみんなで食事をするテーブル。そして私が座ったのはあろうことか、参謀長官がいつも座っているポジション。ちょ、これ私死亡フラグ。とか顔を青ざめていると隣にアヤナミさんが座った。私はさらに顔が青ざめてアヤナミさんの方を恐る恐る見る。
「今日はナコが主役だ。私のことは構うな」
「いやでも、」
「私の好意を無駄にするのか?」
「有難く受け取らせていただきます!」
「よろしい」
あ、アヤナミさんが笑った、気がした。気のせい・・・だろうか。
「ではナコたんの合格を祝いまして、皆さん、乾杯!!」
「「「「「乾杯!!」」」」」
「皆さん、こんなにたくさんの豪華な食事と祝いの言葉、ありがとうございます!私が合格出来たのは皆さんのおかげです!本当にありがとうございます!!」
「ナコさんが頑張った成果ですよ」
「腕にふるいをかけて作った料理ですから、たくさん食べてくださいね」
「食後のデザートもありますから、ゆっくり食べてください」
「ナコ、カツラギ大佐とハルセが作ったんだよ!僕も味見してお手伝いした!」
「最後にプレゼントがありますから楽しみにしていてください」
「ナコたん、これもぜーんぶアヤたんの計らいだから!」
「え・・・アヤナミさん?でもさっき」
「・・・ヒュウガ」
「だってそうじゃないとアヤたん不器用だしナコたん鈍感だから気付かないままでしょ?」
「・・・アヤナミさん、」
「・・・・・・」
「さっき寂しいとか言ってすみませんでした」
「ぶっ」
「ちょっとヒュウガ少佐、今感動のところなんですからっ」
「ありがとうございます!すごくすっごく嬉しいです。アヤナミさん大好きです!!」
「・・・・・・・・・」
「い、今のって・・・」
「ナコがアヤナミ様に!」
「うふっ、みんな大好きです。料理も大好きです。ひっく、スプーンも大好きです」
「・・・ヒュウガ貴様か、ナコに酒を飲ませたのは」
「あ、あはは・・・ごめん、注ぐの間違えちゃった」
「おいひいなあ・・・んぐんぐごっくん。っぷはあ!」
「作ったかいがある食べ方ですね」
「え、ええ」
「なんだーつまんないのー」
「お酒ってそんなベタな・・・」
「ちょっとアヤたん鞭しまってよ!いいじゃんいいこと聞けたんだいったああああああ」
身体はちょっといや結構熱いけど、気分も気持ちよくなってるけど、酒に呑まれそうになってるけど、でも本当はまだ酔ってないんだよ。あれがどっちの意味なのか今の私には答えは出せなかったけど、でも嘘じゃないよ。でもこれは、私しか知らない。誰も、知らない。
私たちのいつもの日常が、少し変わろうとしていた。
-----キリトリ-----
テーブルがどんな形とかそれぞれが座っている場所とかてきとーに妄想で補ってください、力不足・・・orz
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