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「それにしてもなんであんなとこにいたの?ナコたんったらおちゃめっ☆」
頬を指でつついてくるヒュウガ少佐がいつにも増してうざいとか決して本人には言えないけどでもだからといって「てへっ☆」とかのる勇気もねえ。なんて考えて悩んでいたらすっぱりと隣にいたコナツさんがうざいと言っていた。コナツ先輩尊敬するッス!
「でも、ナコさんが無事で良かったです」
「ごめんね、今度はもっと早く気付けるようにするから!」
ハルセさんの優しげな微笑みに癒される・・・。クロユリ中佐は泣きそうな声で抱きついてきて、まるで小動物のようだ。
「コナツさん、ハルセさん、クロユリ中佐、ご心配をお掛けしました」
「あれ、ねえねえ俺は?」
「アヤナミさんとカツラギ大佐もすみませんでした」
「あれ、無視!?」
ヒュウガ少佐がかまってとばかりに袖をちょいちょい引っ張ってくるが、別にかわいいとか思ってないんからね!今すぐにでも抱きしめて撫で撫でしてあげたいとか思ってないんだからね!
「すぐに見つかったのですから気にすることはないですよ。それよりも、似合ってます」
カツラギ大佐の言葉で思い出した。そうだ、服を着替えてきたんだった。なんだか私だけ違うと不安になるというか、みんなに合わせようとする心理が働くというか、要するに恥ずかしい。顔に熱が集まるのが自分でもわかる。
「さすがアヤたんが見立てただけはあるよねー」
「・・・え?」
「アヤナミ様はなんでも知ってるもん!」
「はい!?」
「驚きました?」
「コナツさん・・・」
「とても高価なものでもありますから、お礼を言われてはどうです?きっと喜んでくださいますよ」
「こ、高価・・・」
どうしようとんでもないことを着てからいっきに聞いてしまった。
・・・この服はアヤナミさんが見立てた?つまりはアヤナミさんが選んで、買って、そして高くて、お礼を言わなければならなくて・・・
「すみませんでしたアヤナミさん!」
「・・・謝られても困る」
「いやだって高価なものとは知らなかったとはいえ、結構雑に着たり脱いだりしてしまいましたし・・・」
「そのようなこと気にしなくてもよい。それはお前のために買ったもので、もうお前のものだ」
「えっ!?この服、貰っていいんですか!?」
「当たり前だ」
「えっ、えっ、嘘っ!?」
「嘘をついてどうする」
わあああ私ったらもうなんかアヤナミさんが滅多なことするから不覚にもときめいちゃったよ!アヤナミさん紳士!そしてごめんなさい、結構女性の気持ちとかわかるんですね!
「ありがとうございますっ!一生大切にします!!」
「・・・礼などいらぬ。早く目的を済ませるぞ」
「アヤたんってば照れてるー」
「ヒュウガ、貴様は残って仕事をしていろ」
「ほらほらまた照れ隠ししてるー」
ニヤニヤしていたヒュウガ少佐だったが、一瞬でアヤナミさんの鞭の餌食となっていた。
本当に照れているんだろうか?無表情だし赤くなったりとかしてないから少しわかりづらい。ヒュウガ少佐は同期らしいし付き合い長いから少しの変化でもわかるんだろうなあ。もうそれ恋びっ・・・睨まれた。アヤナミさんに凄い睨まれた。そういう反応だったら私でもわかるんだけどな。
「ずっとアヤナミ様を見ていたわけではありませんが、アヤナミ様が女性に贈り物をするのは初めてだと思いますよ」
「カツラギ大佐・・・」
「きっと、色々慣れないことだからどうすればいいかわからないんだと思うんだ。だから、アヤナミ様のことわかってあげてね?」
「クロユリ中佐・・・」
「あれでも喜んでおられるんですよ」
「ハルセさん・・・」
「あまり大きな言葉では言えませんが、ヒュウガ少佐の言ったことは本当ですから」
「コナツさん・・・」
みなさん本当にアヤナミさんのことが大好きなんだなあ。こんなにもリーダーを想っている部下はいないよ。お互い信頼しあっていて、まるで家族みたい。
急に家族を思い出してしまった。そしたらなんだか無性に寂しくなって、アヤナミさんの隣まで駆けていった。
「アヤナミさん」
「・・・なんだ」
「本当にありがとうございます」
「・・・ああ」
「嬉しいです」
「・・・」
「服も嬉しかったですけど、アヤナミさんの気持ちだけでも嬉しいです」
「・・・そうか」
「あ、でもこれ高級なものならクリーニングとか出さなきゃなんですかね」
「・・・ナコ」
「はい?」
「・・・大切にしろ」
「もちろんですよ!元の世界に帰っても、大切に着ますから」
「・・・・・・」
「アヤナミさん?」
「それならいい」
-----キリトリ-----
あ、れ?ピクニックの風景で味覚オンチとか書くはずがなかなかピクニックに黒鷹の面子が行ってくれない(´;ω;`)
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