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「あれ?みんなどこ行ったんだろう・・・」
着替え終わって、事前に説明されていた部屋に来てみたが誰もいなかった。
ここで合ってるはずなんだけど・・・
部屋をうろうろしていると、廊下から声が聞こえてきた。その声はだんだん近づいてきている。まさか、この部屋に来る!?
私は部屋にあったクローゼットに入って隠れた。
「・・・なんで私隠れてるんだろ」
自分の行動に疑問を感じていると、誰かが部屋に入ってきた。
「あれー?ナコいないよー?」
「本当ですね。どこに行ってしまったんでしょう・・・」
・・・ただのクロユリ中佐とハルセさんだった。
ため息をついて外に出ようとクローゼットを開けようとするが、・・・開かなかった。
え、どういうこと何これどうして意味わかんないなんでいやうそだろ私ここで死ぬのかうわああああああああああああとりあえず落ち着くか。
冷静になろうと深く深呼吸する。深呼吸しているとまた人が入ってきた。
「もう何でこんなとこまで書類を持ってくるのかなー」
「少佐が終わらせないのが悪いんでしょう!」
「あはっ、やっぱり?」
「まったく、ナコさんのために今は見逃しますけど、帰ったら即終わらせますよ」
「えー、まあ仕方ないか」
うん、ただのヒュウガ少佐とコナツさんだ。
ってことはやっぱりここで部屋は合っていたんだ。なのにどうしてクローゼットになんか隠れたんだ私。
助けてもらおうと声を上げてみた。
「少佐ー!中佐ー!コナツさんー!ハルセさんー!」
「あ、ヒュウガーナコ見なかったー?」
「え、クロたん一緒じゃないの?」
「それがリビドザイルで着替えた時からいなくなってしまって」
「リビドザイルに戻ったのでは?」
「さっき終わったか見に行ったらさ、部屋にいなかったんだ」
「えーじゃあナコたん迷子なの!?」
私はここだよおおおおおおおおお!!!
駄目だ部屋が広くてクローゼットとみんながいる位置が遠すぎる。声を上げても聞こえない。それにこのクローゼットの中広いな。叩けば気付くかな?
駄目だ。クローゼットが頑丈すぎてびくともしないし叩いてもあんまり音が出ない・・・。
なんだろうこの死亡フラグ。どうしてこうなったんだろう。私は餓死するまで一生ここですごさなきゃならないのか。
「あ、アヤたんおかえりー」
「カツラギ大佐!ナコさんを見かけませんでしたか?」
「ナコさんですか?いえ、見ませんでしたが・・・」
アヤナミさんとカツラギ大佐だ!うう、私はここで死ぬの?嫌だこんな死に方あああああ!!
ナコさん ○○歳
死因「クローゼット」
絶対嫌だああああああああああ!!
「ナコたんがいなくなっちゃったんだよ〜!アヤたんどうしよう!もしかして上層部の連中に絡まれて・・・」
「そんな、じゃあナコさんは今頃・・・」
「アヤナミ様、ごめんなさいっ、僕がっ僕がついていながらっ!!」
「クロユリ中佐・・・」
「大変なことになりましたね・・・」
「・・・・・・」
うわあああああどうしよ死因がクローゼットだけは絶対に、あれ?なんか光が見える。ああそうかあれが天国かなんだ。って嫌だ嫌だ死にたくねえ!!そっちには何が何でもいかないからな!
「ナコ」
「絶対行かなっ、あれ?なんでだろうアヤナミさんの声が聞こえる。まさか幻聴までっ!?三途の川の向こうから呼ぶ的な・・・いやアヤナミさん死んでない、しっ!?」
ぐいっと思いっきり胸倉あたりを掴まれた。一気に光の方に引っ張られる。まぶしくて目を細めると、幻聴ではなく、幽霊でもなく、アヤナミさんがそこにいた。
「ア、アヤナミさんんんん!!」
「・・・馬鹿なのか?」
「うわあああもう馬鹿でもなんとでも言ってくださいいいい」
涙ぐんでアヤナミさんに抱きついた。衝動的に。アヤナミさんは黙って頭を撫でてくれた。終始馬鹿だとか馬鹿だとか馬鹿だとか言っていたけど。
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