TWIN | ナノ
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どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!!!

私は今日も、士官学校に通って、授業を受けていた。
入学してから早一ヶ月が経とうとしている。

今までずっと、ブラックホークに帰れば家庭教師の如くアヤナミさんの『アメと鞭』教育が行われ、なんだかんだ文句を言いながらも、ここまでやってこれた。そんな自分を褒め称えてあげていいと思う。
なんたって、あんなに無知だった私が、完璧落ち零れだった私が、今ではなんとまさかの主席!!主席!!(大事なことなので二回言いました)
テストも毎回満点取れるようになったし、抜き打ちテストも満点(最初は死亡フラグだった)と、今までの私からは想像も出来ないくらい本当に凄かった。ほんとに。
初めてアヤナミさんに感謝したからね。本気で。

でも、でも、ついに来てしまった。この時が。


「みなさん、次は実技の授業です。授業前にお知らせがあるので10分前には必ず集合するように」


そう、今日はザイフォンを使っての実戦練習があるのだあああああああ!!!!

朝から、いや、昨日の夜からもう学校に行くのが嫌で嫌で部屋に籠もっていたら、ヒュウガ少佐に勝手に部屋に入られ(鍵かけてあったのに開けられた)、無理矢理学校に連れて行かれたり、コナツさんに笑顔で励まされたり(コナツさんマジ天使だった)、とりあえず何故か皆楽しそうで、意味がわからなかった。そういえばアヤナミさんとは今日一回も会ってない。


「億劫だ。サボっていいかな?でもミロク様に行かせて貰ってる身。あしながおじさんに恩を仇で返すようなことは出来ないよ。それにアヤナミさんも怖いしね・・・」


仕方なく一人で集合場所に10分前ピッタリに到着すると、クラス全員が整列していた。私も慌てて列に混ざる。


「全員揃いましたね。では、ご紹介します」


紹介?誰だ?と、クラス全員が疑問を浮かべてざわめきだす。私もよくわからず首を傾げていると、入り口から黒い軍服を着た人達がぞろぞろと入ってきた。背が小さいためあまり見えないけど、人数は5、6人くらいだろうか?
そして、私達の列の前、先生の隣に並んだ。


「今日は特別に、ミロク理事長からのご厚意で、アヤナミ参謀長官率いる、ブラックホークの皆様方にお越しいただきました」


ちょ、ええええええええええええええええええええええ!!??!?!?

前が見えないからアヤナミさん達が本当にいるのかわからないけど、でも先生今確実にアヤナミって名前言ったよね、ブラックホークって言ったよね?聞き間違えるわけがない。似たような名前があるなんて聞いた事ないし!
ミロク理事長おおおお!!余計なお節介いいいいいい!!あしながおじさんはもっといいご厚意をするよ!人選ミスだよ!


「今からザイフォンを使って実戦練習をするわけですが・・・実技能力が高い者は、ブラックホークの皆様方と戦ってもらいます。今から名前を呼びますから、呼ばれた者は前へ」


なんだ、実技能力が高い人だけか。なら私は関係なさそうだ。だって、私実技は初めてだしね。


先生が次々と名前を呼んでいく。不安そうな顔で俺だったらどうしようとか言う生徒もいれば、これはチャンスだとやる気満々な生徒も。どんどん呼ばれた生徒が前に出て行く。


「最後に・・・ナコさん。ナコさんは特別、アヤナミ参謀長と対戦してもらいます」


な、な、なんでだああああああああああああああああ!!!

そんな爽やかな笑顔で言うなよ先生!!なんで私なの!?私実技初めてなんですけど!てかなんで私だけ指名なの!?

呼ばれて無視することは出来ず、先生に講義するほどの勇気もないので、渋々前へ出る。
指名されたので目を逸らしながらアヤナミさんの前まで行き、立ち止まった。


「よ、宜しくお願いします・・・」

「ああ」


いつものアヤナミさんなんだけど、何故だろう?いつもよりちょっと楽しそうな・・・?


「ナコたん頑張って☆アヤたんは凄く強くて容赦ないから気をつけるんだよー」


手を振ってアドバイスしてくれたヒュウガ少佐。周りのクラスメイトがざわざわとあいつブラックホークと知り合いなのか、的なことを言い出したけど、私は思考停止で固まっていた。
なるほど、コレが本当の死亡フラグってやつですか。


「では各自、準備して試合を開始してください」



この練習場には、いくつかのフィールドがあって、そのフィールドは透明なバリアのようなものが張ってあり、どれだけのザイフォンを放とうが、破壊されることはない。要するには、テニスコートがフェンスで区切ってあるような、そんな感覚。それと比べたら、広さは圧倒的に広いけども。

私とアヤナミさんは一番広くて頑丈なバリアが張ってある第一フィールドに入った。


「本気で来い。でなければ・・・死ぬぞ」

「そんなに本気出して来ないで下さいよ!お手柔らかにお願いします!!」

「お前相手に加減をすれば、こちらがやられる。無理だ」

「私そんなに出来ませんよ」

「ザイフォンを使いこなしたと言っていた筈だが・・・聞き間違いか?」

「そ、それとこれとは違います!」

「安心しろ。殺しはせぬ」

「いや、安心できねえええええ!!殺しはしないって、それ当然ですよ!!」

「間違えて手を滑らせるかもしれないからな」

「確実に殺すつもりですよねっ!?」


クラスの皆が、異様な目で私を見ていることは、私は知らない。
そして、ギャラリーが一番多いのも、戦いを始めるまで、私は気付かなかった。



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