TWIN | ナノ
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「帝国の歴史とかって本もある。これも借りよう」


私は今、図書室に来ていた。

この世界のことをもっと詳しく知りたい、とコナツさんに相談したところ、図書館の本を借りて勉強するのはどうですか、と助言された。


バルスブルグ帝国やラグス王国の歴史、神話など、関連する本は探せばたくさん出てきた。


「あ、ここのお金ってユースって言うんだ。しかもクリスタル?」


わからないことばかりで、とても一日読んだだけでは憶えられなさそうだったので、借りて一度ブラックホークの執務室でコナツさんとかに聞きながら読もう。その方がしっかり理解出来るだろう。


借りたい本を持ち、カウンターに行こうとした時だった。
後ろから声をかけられ、振り返ると一人の軍人さん。

何か用だろうか?


「重そうだね、手伝おうか?」

「いえ、結構です」


愛想よくやんわり断った。あまり人とは関わりたくないし(ブラックホークのみんなは恩人だから別だけど)、迷惑をかけるのは心苦しい。


「いいから、手伝わせてくれ」


何度断ってもしつこく言ってくるので、仕方なく私はお言葉に甘えることにした。軍人さんはこれくらい大丈夫ですよ、と優しげな笑みを浮かべて、本を全部持ってくれた。


「ありがとうございます」

「君は、何か願いはないのかい?」

「願いですか?」

「誰だって一つや二つ持っているものだろう?」


願いかあ、とりあえず私をもとの世界に帰して欲しいな。


「欲しいものとかはないのかい?・・・愛する者とか、」

「いますけど、無理ですよ」


私の愛する坂田が二次元から三次元に来れるわけがない。私が画面という壁を越えて二次元に行けるわけもない。そんな願いは無理に決まっているし、何より私は本当に坂田を愛してるのかも疑問だった。なんたって私は本当に人を本気で愛した事なんかない、と思うから。まだ経験が浅いということなのかな?でもそんなこと思っていながらも坂田が好きだと言い続けるけどね。
それに、今はアヤナミさんがいるから(怖いけど)十分キュンキュン出来てるし(見た目だけは似てるからね)、ブラックホークの皆さんはイケメンだし・・・って、私変態?あ、今更だった。


「無理なことはない。どんな願いも叶うさ。さあ、私に君の願いを教えてくれ」


軍人さんは更に言い寄って来る。
どうしてこんなに私に願いを言わせたがるのだろう・・・気味が悪くなってきた。


「あの、私、もう一人で持てるので。ありがとうございました」


軍人さんから持ってもらっていた本を急いで逃げるように奪うと腕を捕まれた。


「願いを・・・あの方のために!!」


突然強い風が窓を割り、吹き込んだ。
目をつむって再び開けると、軍人さんの背中に骨のような翼が生えていた。


「な、何じゃこりゃあああああああああああああああああ!!」


翼らしき骨は私に向かって襲い掛かってきた。
私はそれを間一髪で避けた。が、軍人さんに腕を捕まれているため、いつ当たるかわからない。
周りにいた軍人さん達はコールだ、と騒いで逃げ出し離れていく。
お前等軍人なんだから助けろやああああああああ!!


「くっ!」


翼らしき骨が頬をかすめ地面に突き刺さる。
血が頬をつたい、床に染みをつくった。


「なんて美味そうな魂・・・」

「ナコ!!」


味わった事もない死の恐怖で意識が薄れていく。早く気絶して何もわからなくなってしまえばいいのに、と目を瞑りそうになった時、アヤナミさんの声が聞こえて同時に目の前に爆発が起こった。爆発と思いもしない人物の登場に驚いて瞬きをすると、目の前に確かにアヤナミさんがいて、それを確認した後意識はとぎれた。





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