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夜の11時頃、勤務時間をとうに過ぎているというのにこの人たちはまだ働いていた。
「ナコたん、起きて」
私が先に寝るというのは失礼極まりないと思いソファーでうとうとしていたところ、ヒュウガ少佐の声が耳元でいきなり聞こえたので目を覚ました。無駄にいい声で鳥肌が、
「・・・なんですか?ふああああ・・・」
「終わったよ、今日中に!」
何のことだろうと思考回路を再起動させると、向こうでコナツが終わった〜、と泣きながら喜んでいるのが見えた。
ヒュウガ少佐もやれば出来るじゃないか。
「ねーねー惚れちゃった?」
ニコニコと聞いてくるヒュウガ少佐。
「・・・私が手伝ったお陰でもあると思うんですが、」
「細かいこと気にしちゃダメだよ」
もうヒュウガ少佐の分は手伝わないようにしよう。
「そうですかー、お疲れ様でーす」
棒読みで言えば、ヒュウガ少佐はムッとして、
「俺の中では今までで一番の頑張りだったんだけど」
不満なのか口を尖らせていじけだした。と思ったら、またいきなり耳元で囁かれた。
「じゃあご褒美頂戴」
「っ、!ご!?」
妖艶な笑みを浮かべて聞いてくる少佐に、私は耳が幸せ過ぎてテンパり、パニック状態。確実に顔赤いし、にやけてる。イケメン装備なんて卑怯だ!
「ナコたん照れちゃってかわい〜」
「ち、違っ!え、あ、あわわわわわ、ご、ご褒美ですっ」
完全にテンパり頭真っ白の私はコナツさんの腕を引っ張りヒュウガ少佐の前に置いた。
「あの・・・ナコさん?」
「・・・ナコたん、なんでコナツ?」
「こ、コナツさんはご褒美です?」
「え。いや、ナコさん落ち着いてください!」
「うーんコナツは好きだけどご褒美にはいらないなー」
「じゃあアヤナミさん?」
「いや、アヤたんはもっと向いてないと思うよ!」
「えーとじゃあ・・・」
「ナコたんがいいな」
「誰がいいかな、」
ヒュウガ少佐は拗ねて泣きまねしだした。それも無視し続けなければ、と知らないフリをしているとヒュウガ少佐がまたいきなり変なことを言ってきた。
「わかった!じゃあご褒美はナコたんと今日一日寝れる、ってどう?」
「ヒュウガ少佐!?何言って・・・ちょ、ナコさんが固まってますよ!」
無理無理無理無理無理いいいいいいいい!!!
ヒュウガ少佐と一緒に寝るなんて、あ、でもアヤナミさんとは成り行きで寝たんだっけか。 それにこれはもしかしておいしい話というものではないのか?多くの女性達が望んでいるだろう事を私は拒否っているのか?もったいないぞ!?だがしかし・・・
うーん、なんて頭を捻っていると後ろから腕を捕まれ引っ張られた。
ビックリしてバッ、と後ろを勢いよく振り返れば、
「ア、アヤナミさん!?」
「仕事は終わった、寝るぞ」
いやいやいや!私あなたとも寝るなんて言ってねえええええ!
「アヤたん、それは狡いんじゃない?」
「こやつを預かっているのは、私だ」
こやつ呼ばわりされた。
「せっかくナコたんと寝れると思ったのになー・・・、じゃあ、」
頬に柔らかいモノが当たって同時にちゅっ、とリップ音が聞こえた。
「おやすみ、ナコたん☆」
「お、おやすみなさい、ナコさん」
「・・・」
ヒュウガ少佐はご機嫌な笑みを浮かべ、コナツ君は顔を真っ赤にしていて、アヤナミ様は黒さが増して、私の腕を握り潰してしまうんじゃないかというくらい強く握ってきて、私は、何が起きたのか直ぐにわからなかった。
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