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3種類全てのザイフォンを発動させた私。
それが珍しいことということは勿論知るわけもなく。
「ナコたん凄いよ!攻撃に癒しに操作系まで使えるなんてさ!」
「え、皆さんも使えるんじゃないんですか!?」
「普通は一人一つが基本です。攻撃と癒し系両方出せるのさえも稀なんですから」
ヒュウガ少佐に頭をぽんぽんされ、コナツさんが驚きながらもゆっくりとした口調で教えてくれた。
「でも上層部の連中いい気味だったね、ナコ最高だよ」
クロユリ中佐がハルセに抱っこされながらニコニコとした笑顔を私に向けた。
「・・・窓の修理が面倒だがな」
アヤナミさんの一言に皆だんまりしてしまった。
「・・・私が修理しましょう!」
さっき出来たんだから出来るはず。何の根拠もないが自信だけはあった。
手をとりあえず窓に向ける。ザイフォンがふわふわと出て、窓に吸い込むように張り付いた。操作系で散らばったガラスの破片を広い集めると自動的に窓に吸い付いていく。そして一瞬光ったと思ったら、次には元通りの窓があった。
「なんか、ザイフォンって感じじゃないですね」
コナツさんが呟く。皆そう思っているような顔だった。
何が違うのだろうか?というかザイフォンって結局何だ?魔法?
などと考えていたら、急に睡魔が私を襲った。
「なんか・・・疲れて、」
足に力が入らず、ふらつきながらなんとか立っていた身体は突然ガクン、と崩れた。
倒れる衝撃を待っていたが、一向に来ない痛みに疑問を持ちうっすら目を開けると、私を支えていたアヤナミさんと目が合った。
「眠れ」
アヤナミさんの言葉が心地好くて、再び目を閉じた。
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