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執務室、周りが仕事をする中ヒュウガ少佐はコナツさんに手当てしてもらっていて、私は床に正座してそれを見ていた。
「痛いよナコたん・・・」
「ごめんなさいヒュウガ少佐!!」
あのあとヒュウガ少佐の頬をグーで思い切り殴ってしまった私。
少佐の頬は少し赤くなっていた。
「ヒュウガ少佐が勝手に入ったのが悪いんですから、ナコさんがそんなに気を落とす必要なんてありませんよ」
そう言ってくれるコナツさん。
でもコナツさんがヒュウガ少佐に湿布を貼っているところを見て、更に罪悪感に苛まれるんですが。
「それにしても、凄い書類の山ですね・・・」
「ほんと、嫌になっちゃうよねー・・・」
「ヒュウガ少佐が仕事をしないからですよ!!」
そうなのか、なんとなく予想はついていたが。
「コナツさんが可哀相ですよ、ヒュウガ少佐」
「そうだけど・・・でも禁断症状が出ちゃうし」
なんだそれは、と眉間にしわを寄せるとヒュウガ少佐が人を斬りたくなっちゃうんだ〜といつもと変わらない間延びした声色で言った。
「・・・頑張って下さいコナツさん」
「ええ!?」
「まだ死にたくないので」
一番殺られるとしたら一般庶民の私だからね。みんな軍人だし。
「そうそう!ナコたんに一回聞いたかもだけどザイフォンは使えないの?」
「あの魔法みたいなやつですか?」
「うーん・・・多分そうだよ☆」
「出るわけないじゃないですか」
俺の蛇鬼眼が!ってやつですか?中二病ですか?
「やってみようよ、出来るかもしれないよ」
ニコニコ手を握ってくるヒュウガ少佐。
「・・・どうやったら出来るんですか?」
本当は私出来るんじゃないかとワクタクしていたりする。私のバカ。
「誰かを殺したいって思えばすぐ出るよ☆」
「・・・・・・使えなくていいです」
ニコニコと星マークまで語尾につけるほど平気で言えるなんて正気じゃねえ・・・。
「ヒュウガ少佐!それじゃわかりませんしナコさんが顔真っ青になってるので変なこと教えるのはやめてください!」
「えーだって俺こんな感じで出たよ」
「ヒュウガ少佐とナコさんを一緒にしないで下さい」
コナツ君が私の前に来て、ザイフォンというものを正常な考えで教えてくれた。
「つまりはふわふわしたのが癒し系、ビリビリしたのが攻撃系、糸状のものが操作系です」
「おお!わかりやすいです!よし、やってみます!」
両手を出し、よくわからないけど力を込めてみる。
「ぐ、ぬぬ・・・」
「ナコたん力みすぎ〜」
「もっと楽にイメージしてやるといいと思います」
「か・・め・・は・・・め・・ハアアアアアアアアアアア」
「・・・ナコさん、真面目にやりましょう」
「・・・はい」
コナツさんに怒られた。涙目だよ。
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