結局、夜遅くに部屋に戻った。図書館であんなに本を読んだのに、私の心は晴れなかった。誕生日前のホグズミート…かあ。


「一緒に行きたかった…。」


本当はリリーは悪くないし、自分がうじうじしてないで早く誘えば良かったのだ。布団に入ると隣でリリーが小さく「ごめんなさい」と謝ったのが聞こえた。それでも私はリリーに背を向けて、そのまま夢に落ちた。


起きたときにはもうリリーはいなかった。友達と大広間に行くと、リーマスくんの隣にしっかり彼女はいて楽しげに話していた。私はこんなに中が真っ黒になっているのに、彼女の笑顔はキラキラしていた。そんな彼女を見ると全てがどうでもよくなって、私は珍しくリーマスくんに嫌みを言うことなくご飯を食べ、部屋に戻った。


久々のホグズミートでの一日はおかしいくらい早く過ぎて、最後に友達とバタービールを飲むことにした。店に入ると同時に目に入ったのは一番奥で会話しているリリーと、

「リーマスくん…。」

思わず口から出てしまった。友達は面白半分で彼らの席の近くに陣取る。


「不細工が隣じゃ、バタービールも美味しくないなあ…。」


突然、リーマスくんがこちらを見て言った。私はぐっと堪えて、「そうですか」とだけ返す。それが面白くないのか、更に悪態をつくリーマスくん。そのうち堪えきれなくなった涙が自分のバタービールの中に落ちる。


「リーマスくん、最低だよ。」

「自分の性格が、の間違いじゃないのかい?」


心の中で何かが切れて、私はガタンと席を立った。お金を机に置き、「だいっ嫌い」とだけ言い残して店を急いで出た。その言葉がリリーに向けたものか、リーマスくんに向けたものかなんて私でも分からなかった。お店に残してきた友達のことも頭の隅で考えながら私は一人、ホグワーツへの帰路を歩いた。

部屋に帰り、一人で枕に顔をうずめて泣いているとキイッとドアが開いて友達が戻ってきた。私は涙声で「おかえり」と言うと、友達はうつ伏せで寝ている私の両脇に寝そべって抱きしめてくれた。


「ルーピンくんのこと、好きだったんだね。」

友達の一人が言った。私はコクンと頷く。「応援するから、言ってくれても良かったのに。」とも。リリーにしか心のうちを告げなかったことは、少しばかり間違っているように思えた。



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