「猫かぶりのリーマスくんは今日も相変わらずね。」


また面倒なのが来た、と思った。リリーの友達で何故か僕に突っかかってくるfirst nameは毎朝の日課とでも言うように僕に嫌みを言ってきた。


「気持ち悪い君の顔も相変わらずだね。」

まだ猫かぶりの方が可愛らしいよ、と仕返しに笑えばfirst nameは顔を真っ赤にしてローブを翻しながら背を向けた。何なんだ、あれは。



気持ち悪い顔だなんてそんなの分かってた。それでも、好きな人から言われたら少しばかりか結構傷ついたりする。一年生のときからずっと好きだったリーマスくんは、初めて見たときは王子様みたいだななんて憧れもして。でも素直じゃない私はリリーの友達という立場を利用しても「嫌み」という形でしか接することなんて出来なかった。最初はイメージ通りの紳士な口調だった彼も段々と毒づいていき、今ではあんな風に嫌みまで言ってくるようになってしまった。きっと彼の中で私は恋愛対象外の不細工な煩い女の立ち位置なのだろうと自己嫌悪する。リーマスくんに背を向け数歩歩いたところで振り返えれば、リリーがリーマスくんと楽しそうに話しているのが見えた。なによ、自分にはポッターがいるくせにと毒づく。

リリーは素敵な女性だと女の私から見ても思う。友達として大好きだし…けれど、今の私は彼女に対して嫉妬しか生まれてこなかった。

部屋に戻って、カレンダーを見る。誕生日まであと2日。しかも明日は久々のホグズミートの日だった。リーマスくんと一緒に行きたいなあ…なんて考えて、あんなに嫌みを言ってるのに誘うなんて無理だと自嘲した。それにリーマスくんは人気者だ。私とホグズミートだなんて行くくらいなら他の可愛い女の子を誘うだろうと考え、また落胆する。色々考えるうちに、自分で結論を出せなくなった私はリリーに相談してみようと彼女の帰りを待った。



リリーにホグズミートに誘われた。僕は誰とも約束していなかったし、一人で本屋さんにでも行こうと考えていただけだったからから快くOKした。少しだけ、first nameから誘われるのを期待していたが、あんな奴と行くよりもリリーと一緒の方が落ち着くと思い直した。



リリーが部屋に入ってきた。何故かとても上機嫌で。私はリリーに「あのね…もうすぐ誕生日だから、明日のホグズミートにリーマスくんを誘おうか迷ってて…」と相談した。リリーは私がリーマスくんを好きなことを知っているし、頼りになるから返事を期待していたのに――――


「え?」

「だから…その…ごめんなさい。リーマスのこと私が誘ってしまって…。」


嘘だ、と思った。でもリリーは嘘なんか付かないし、明らかに動揺していた。


「なんで…。」

「あの…、」

「なんで!リリーは味方してくれたじゃない!リリーにはポッターがいるじゃない!そんなに男がいいの?友達より?」

最低、と落ち着いた声が出た。私はなんだか酷くいたたまれなくなって部屋を出る。リリーの意見なんて耳にも入らなかった。



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