朝、廊下で会ったハーマイオニーに「目大丈夫!?」と驚かれ、一限目の授業担当であるマクゴナガル先生に「どうしたんですかその目は…」と心配されるくらいには私の目は腫れていた。それもその筈だ。私は一晩中泣いていたのだから。まだドラコに対する思いを諦めていない分昨日見た光景はつらかった。ドラコの方をチラッと見ればばっちり目があってしまい、そんな目の私を見て笑うんだろうなと自虐的になりながら彼に向かって微笑んだ。ざまあ見ろって感じで、きっとドラコは何も知らず私のもっと不細工な顔を見て笑うだろうと思った。



今朝、大広間で見たfirst nameの顔は本当に酷かった。顔色が悪いのはもちろんのこと、あの、僕の大好きな目が酷く腫れていたから。僕は一瞬言葉を失い、何故彼女はあんなにも目を腫れさせているのだろうと考えた。変身術の授業中に彼女と目があい、微笑んでくれたがそれは僕にはあまりにも痛ましく目を逸らしてしまった。


「おい、お前。」

僕がグレンジャーのことを悪口以外で呼び止めるのは初めてだった。グレンジャーは僕に声を掛けられた瞬間、うわ、というような顔をしたが気にしない。

「なによ。」

「その…first nameのことなんだが。」

なんであんなに目が腫れているんだ?と問えば、彼女は顔を真っ赤にして酷く怒り僕の頬を叩いた。呆然とグレンジャーの顔を見ることしか出来ない僕に最後、「自分で考えなさい」と叫んで行ってしまった。しかし思い当たることなど、自分の彼女の髪にキスを落としその後ベタベタしていたぐらい…もしかしたらfirst nameは妬いてくれているのかも、と思ったがそんな根拠のない自惚れは自分の首を苦しめると思い考えるのをやめた。




「first nameちゃん?」

寮へ戻ろうと1人とぼとぼ歩いていると、後ろから声を掛けられた。振り向けばそこには言わずと知れた人気者。


「セドリック…さん。」

「良かったー、久しぶりに声をかけるから忘れられてないか心配だったよ。」

目の前で爽やかな笑顔を零す彼に、ついこちらも笑顔になる。すると彼は私を見て一言、また彼かい?と心配そうに聞いてきた。セドリックさんとはたまたま図書室で仲良くなった。それ以来、お兄さんのように頼りにしていて勿論私がドラコのことを好きなのも知っている。


「後輩が言ってたんだ。いつも一緒にいるfirst nameが今日は様子が変だって。」


泣いたんだね、なんて言って頭を撫でられると自然に涙がまた出てきて止まらなくなった。どうせここにはあまり人は来ないしと思うや否や私はセドリックさんに抱きついた。


「少しだけ、このままでいさせてください…。」


セドリックさんはなにも言わずただ頭を撫でてくれた。それが本当にお兄さんのようで、長年欲しかった安心感を手に入れた気がして私は急に眠くなった。

セドリックさんから離れて、一礼する。他人行儀だね、なんて言って笑うセドリックさんの笑顔が素敵でやっぱりこういう人は誰からもふられないんだろうな…とぼーっと考えていた。


「first nameちゃん、少しお茶をしよう。あったりなかったり部屋って知ってる?」

グイッと手を引っ張りセドリックさんは早足で歩いた。私は返事をする暇もなくただついていく。


「ここだよ。」


目的の場所まで着くと、壁であるはずのところに大きな扉が出てくる。驚いて目をぱちくりさせればセドリックさんは微笑んで、さあ入ってと急かした。




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