翌朝、大広間に朝食を食べに行くといつも私が座る席に今日はドラコが座っていた。その隣には勿論…

「あら、first nameさんおはよう。」

ニコッと爽やかな笑顔で、ドラコの彼女さんは私に微笑んだ。こっちまでクラクラしそうな隙のない笑みに、なんだか嫉妬してしまう。ドラコは私みたいなうるさい女ではなく彼女のようなお淑やかな女の子の方が好きなのだと言われているような気がして、この場からすぐに逃げ出したくなった。


「first name、こっちきなよー!」

耳に仲の良い友達の声が聞こえる。私は彼女さんに「おはよう」とだけ告げて(しかも私史上最高の笑顔で)、友達のもとへ早足で向かった。





彼女、可愛いわねと言うのは紛れもなく俺の隣の女。そんなのはとっくの昔に分かってる、と口が勝手に動きかけて俺は焦った。

「そうか?あんな奴のどこが可愛いんだ。」

心にもないことを言えば、少しだけ胸が痛む。

「あら?あの子が私に嫉妬してるのなんて一目瞭然じゃない?」

それとも、本当に気付いてなかったの?なんて意地悪な笑みを俺に向けるもんだから、女って怖いと俺は思った。





「そ、そんなに食べるとお腹壊すよ…?」

友達の声も聞かず、私は目の前にある皿を片っ端から空にして言った。もうどうだっていいのよ、あんな可愛い彼女さんにデレデレなドラコのことなんか好きじゃないわ!もう半ばヤケになって平らげる。友達も、前に座っている男子も若干引いているのが分かるが構うものか。今だってほら、ドラコの耳元であの女がなんか囁いてさ…ドラコ顔を真っ赤にしてる。何よ、私にはそんな顔見せないくせに。一気に水で食べ物を流し込む。ひとしきり食べた私はその場にいたくなくて大広間を出た。


寮の自室に戻ると独りでに涙が出た。一滴出たら止まらなくなって、また一滴出た。もう止まらなかった。洗面台に行き、水を溜めてそこに顔をうずめて泣いた。こうすれば、目が赤くならないことを知っていたから。それでもさっきのドラコの赤い顔が忘れられなくて、涙の止まらない私は仕方なく一限目の魔法薬学をサボることにした。



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