ありえないありえない。ほんっと今日の昼のドラコはありえなかった。一応、私とドラコは幼なじみという関係でご両親とも仲が良い。だから安心していたのだ。絶対、ドラコの隣は私だけだと信じていたのだ。この恋に気付いたのはホグワーツに入ってから…ドラコが他の子と仲良くするのを見ていて胸がもやもやしたから。それなのに、


「うあああ…安心してたのが馬鹿だった……。」

「どうしたのよfirst name。」


外から声がした、と思うとホウキに乗ったハーマイオニーが開いた窓から見えた。私は顔がぱっと明るくなり、急いで窓に駆け寄るとハーマイオニーを自室に入れる。


「もう、ハーマイオニー!こんなのバレたら絶対重い処分よ!」

「あら、晩御飯を食べにこないのは親友に助けに来て欲しかったんじゃなくて?」

にや、と笑うが実際グリフィンドールのハーマイオニーがスリザリンの私の私室にくるのは困難なはず。しかも夜に…


「で、どうしたのよ?」

「それがね…」


事のあらすじを話せばハーマイオニーは顔を真っ赤にして怒った。

「ありえないわマルフォイ!そんな…そんなのって酷い…。」

ハーマイオニーの次第に小さくなる声に、私は涙を抑えることが出来なくなっていた。ハーマイオニーはそんな私の肩を抱き慰めてくれた。

ある程度泣いて落ち着いた私に、ハーマイオニーは優しく諭してくれた。「あんな男こっちから願い下げなのよ」とか「許せない」とか。そんなハーマイオニーの言葉を聞く度に私の気持ちは少しずつ軽くなった。

何時間話しただろうか。そろそろ帰ろうかしらと言ったハーマイオニーの言葉を合図に時計を見ればもう0時をまわっていた。

「こんな時間までごめんね。」

「いいのよ。first nameはスリザリン生とは思えないくらい優しくて常識があるから、話をしてて楽しいしね!」
にこっ、と効果音がぴったりな笑顔とともに、ハーマイオニーはホウキに跨り去って行った。

ほどなくして、誰かがドアをノックする音が聞こえた。はーい、と返事をしてドアを開けるとそこには床に落ちた白い封筒があるだけで他に誰もいなかった。

「ん…?」

封筒を手に取り部屋に戻ると、差出人はドラコだった。今更何の用よ…と思っていると封筒が話し出す。

「first name、すまなかった。今日のは言葉が悪かった。反省している…。だから、その、許してはくれないか?」

すまなそうに話す封筒をしまうと、私は布団に入った。誰が許すと思ってるのよ。そんな曖昧な態度だから私に嫌われるのよ。

消灯して寝に入ろうとする。こんなに寝れない夜はいつぶりだろうか。



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