夜中、なかなか寝付けない私はこっそりと布団を抜け出した。もう0時も過ぎているので談話室には誰もいなかった。ソファーを独り占めして座る。特に何をするわけでもなくただぼーっとしていると、誰かの足音が聞こえてきた。次第に大きくなり、こちらに近づいてくるのが分かる。とっさに隠れようとしたのだがどこに隠れればいいか分からずあたふたしている間に入り口のドアが開いた。


「first name…?」


そこに立っていたのはドラコだった。驚いた顔のドラコと目があって、お互いを見て笑った。


「お前、すごい顔…!」

「ドラコだって口あんぐりあけて!」


ひとしきり声を抑えて笑った後、ドラコは私の隣に座ってきた。


「なぁ、」

笑い声がなくなった談話室は妙に静かで、ドラコの声が響く。

「ん?」

「first nameは昔から悩み事があると一人で寝れなかったよな。」

なんか悩みでもあるのか?


なんて耳元で囁かれて、私は心臓が飛び跳ねた。勿論図星をつかれたこともあるが、今までずっと一緒にいたのに聞いたことがないくらい色っぽい声で囁かれたから。

「ド、ドラコだって…」

悩み事があると寝れないくせに、とほんの対抗心から言えば彼は一瞬驚いたような顔をして、微笑みながらゆっくりと私を抱きしめた。


「俺の悩み、聞いてくれるか?」

誰もいない部屋で抱きしめられながら、切なさを含んだ優しい声でドラコが言った。


「first nameのこと、好きなんだ。お前は気付いてないかもしれないけど、僕はずっと…ずっと前から、」

first nameだけを、見ていたんだ




シン、としている部屋が余計静かになる気がした。薄々期待していた通り、私はドラコに告白されたのだ。なにか言わなければ、返事をしなければと思えば思うほど声が出せなくなり、つい涙が出てしまった。





「なんで…寄り道なんかしてたのよ。」


涙が出ている間背中を優しく撫でてくれたドラコに対して、涙が止んだ後に出た言葉はあまりにも可愛くなかった。それでも、その言葉は私の本心だったし聞いておかねばならないと思っていた。


「ああすれば、お前にとって僕が特別だと気付くと思ったんだ。すまなかった。」


なかなか納得出来ない私に、ドラコは一つ一つ説明してくれた。ずっと片思いしていたこと、ヤキモチを妬かせようと思ったこと、別れたときの様子や、彼女のことをどう思っていたか―――


ドラコから話を聞けば聞くほど、二人ともまだまだ子供だったと悟った。そして、話を聞く度にもっと好きになっていく気がした。


「僕と付き合ってくれないか。」


一通り話を終えて、ドラコが言った。私の答えはもう決まっている。


「喜んで、Mr.マルフォイ。」


私たちはどちらともなくキスをした。



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20110906
END



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